北村一輝『猫侍』で“まさかの萌えキャラ”に挑戦 役作りは「とにかくやり切る」
無口な久太郎の胸のうちを知らせるためにナレーション(心の声)を挿入したり、映画のために書き下ろしたという奇妙な久太郎応援歌が突然流れてきたり、確かにこの映画は“時代劇は小難しい”というハードルをぐんと低く設定し、老若男女、誰もが楽しめる娯楽作に仕上げている。「このチームの強さは『ゆるさ』と『崩し』。現場での対応力が素晴らしかったからこそ、ここまでやり切れました」と、北村は改めてスタッフを称賛した。
また、本作のチャームポイントでもある猫の玉之丞との絡みについて北村は、「動物との撮影は大変だと聞き覚悟はしていましたが、とてもよくできた猫で何の問題もなかった。ただ、予想外の動きをすることもあるので、その場合は猫に合わせてシーンを変えることもありました。玉之丞がウインクして久太郎が『萌え~!』と叫ぶシーン、あれ、CGではないですからね」と目を細める。ちなみに、北村が一番気に入っているシーンは、玉之丞が久太郎のお腹の上で寝ているシーンだとか。「昔、飼っていた猫が同じように、いつもここ(お腹)で寝ていましたよ。それをちょっと思い出しましたね…」としみじみ語った。
おカタい時代劇に“癒し”をまぶした萌えキャラ全開の『猫侍』、この映画が伝えたかったメッセージについて北村は、「動物の力により、忘れかけていたものを取り戻したり、見つめ直したり、多くのことを気付かせてくれる作品」と真摯に語る。そんな北村に、本作の公開を待ちわびているファンに向けて、最後に一言ほしいとリクエストすると、今度は照れくさそうに「とにかく観るべし!」と言い放ち、足早に去っていった。役者・北村一輝、なんだかんだ言いながら、素顔は案外、班目久太郎に近い“萌えるサムライ”なのかもしれない。(取材・文・写真:坂田正樹)