映画界に旋風を起こす『ザ・ゲスト』コンビの原点は70・80年代のクラシックホラー
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フルタイムで働く私立探偵から脚本家に転身した変わり種、サイモン・バレットが続ける。監督のアダムも「香港映画が好き、というのも僕とサイモンが仲良くなった理由の1つでもあるんだ」といい、『ザ・ゲスト』にもブルース・リー作品を想起させる場面がある。このように、これまで影響を受けてきた様々な映画が意識的にも無意識的にも乱反射しているのが2人の生み出す作品であるが、そういった意味で今回『ザ・ゲスト』のスタート地点となったのが、『ターミネーター』と『ハロウィン』の2本であるという。
「今回は自分たちがなんでフィルムメイカーになりたかったのか、その理由をはっきり映画にできるようなものを作りたかった。そういう意味で『ザ・ゲスト』は自分たちにとってとてもノスタルジックな映画だったと思うけど、ストーリーは全く見たことがない新しいものにしてみたい、スタイル的な意味で『ターミネーター』や『ハロウィン』のようなものを作りたいと思いました」(アダム)。
この2本と言えば後に次々続編が作られたことから、もしや本作もシリーズ化!? などと思ってしまったが、「『サプライズ』もそうだけど基本的にはそれで完結する物語として作っています」(アダム)、「今のところ僕もアダムも同じことを繰り返すのは嫌なので、多分ないかなと思います。シリーズものってその映画のアイデンティティーが無くなっていき、段々悪くなっていく欠点があるような気がします」(サイモン)と、どちらも積極的ではない様子。たしかに、他にはないワン・アンド・オンリーな作品を作り上げる2人だけに、こうした姿勢は歓迎すべきところだが、『ザ・ゲスト』は“もっと見たい”――そんな気にさせる魅力に満ちている。(取材・文:しべ超二)