土屋アンナのしたたかさと強さ、何を書かれても「いつだって私は私」
そんな芯のある人物を鬼才が放っておくはずがない。石井隆監督は、佐藤浩市や本木雅弘らが出演した1995年の傑作映画『GONIN』の20年ぶりの続編となる『GONIN サーガ』で、そのキャラクター性を十二分に活かした役どころで土屋を起用した。石井監督はこれまでに、打ちのめされても自らの力で立ち上がり、独自の輝きを放つ女性を描き続けて来た。土屋はそのイメージにピッタリと合致する。
事実、撮影現場では「石井監督は“君はそういう風に動くんだね。それこそが面白いんだから、何も考えなくていいよ”と言ってくれて、自由にやらせてくれました」とパーソナリティ重視の演出があった。土屋は「本物の感情をむき出しにすると監督が凄く喜んでくれて、考え過ぎると空回りしてしまう自分としてはやりやすかった。石井監督はリアリティを追及する天才であるし、私の中からリアルをどんどん引き出してくれた」と鬼才とのタッグに手応えを感じている。「演技の勉強もしていないし経験もないから、私は胸を張って“女優です”とは言えない」と謙遜するが、『GONIN サーガ』を通して女優として再び話題を振りまいてくれそうだ。(取材・文・写真:石井隼人)