R指定の危機も!『HK/変態仮面』誰でも観れる“レイティングG”への遥かな道のり
川崎氏は、すぐに映倫に提案すると、「うーん、あまり変わらないですかね」との回答。ところが福田監督も一歩も譲らない。「後から気づいたんですが、あれはチ○コを何度も繰り返すとこも重要なキャラクター性で、回数を減らしたら、あの狂気は生まれなかったと思うんです」と。そんなわけで「PG12」指定映画になったが、結果的には家族同伴の小学生も来場し、予想外の大ヒットを記録した。
そして迎えた第2作、なんと、チ○コという言葉は1度も出てこない。唯一、ムロツヨシ演じる大金玉男の“ティンコ”という言い回しが1度出てくるが、これは福田監督が前回の経緯を踏まえて配慮したことだった。「ところが」と川崎氏が口火を切る。「今回は違うところで引っ掛かってしまって。前作のノリを知らない新しい方がご担当になったのも関係あったかも」と述懐する。
「都合2回、未遂を合わせると2.5回。変態仮面の象徴である“おいなりさん”、いわゆる股間を手で触る、揉む、という表現が出てくるんです」。文字で追うと確かに過激だ。「川崎さん、これはちょっと危ない。セクシャルな意味に取られる場合もあるので『R18+』になる恐れもあります」と担当者に指摘され、福田監督に相談。現場も「G」への熱い思いがあり、「間違っても卑猥な撮り方はしない」と約束したという。
そして後日、映倫さんに完成前のオールラッシュを観てもらったら、「川崎さん、これは「G」ですね!『R18+』とか付けようがない。しかしまぁ、くだらない映画ですね(笑)」と愛あるお墨付きをいただき無事クリア。「映倫さんは、ダメなところはズバッと指摘するが、そこに他意はなく、製作サイドの意図を理解してアドバイスをくれる」と川崎氏は語る。変態だけど、ヒーローとして認められた…福田監督にとって「PG12」があるかないかは大問題。熱意は報われ、いよいよ公開を待つ。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』は5月14日より新宿バルト9ほか全国公開。