北村有起哉「傍観者ではいけない」 原発事故の裏側描く『太陽の蓋』主演で実感
一方、最も印象に残っているシーンについては、「4号機のくだり」と表情を曇らせる北村。公開前につき、あまり言及はできないが、「日本は海水によって“たまたま”救われた」というくだりは、「これが仮に、ある学者の一説だったとしても衝撃的すぎる。真実ならなおさら」と言葉に力が入る。さらに「現場との連携が全く取れておらず、東電側はコソコソと事を進めていたようですが、当時の政権は随分となめられていたんだなと驚きましたね」とあきれ顔だ。
「撮影当時(2015年11月)“原子力は明るい未来のエネルギー”と書かれたゲートの前で撮影したんです。あのシーンも感慨深いですね。数週間後に撤去されたそうなので、たぶん、あそこで撮影したのは僕たちが最初で最後かもしれない」と興奮気味に語る北村。「新聞記者という役を通して、原発事故に踏み込めば踏み込むほど、やばい、やばいぞと、忍び寄る恐怖を感じました。と同時に、無知・無関心でいることも罪だなと痛感しましたね。まず、知ること。そして、おのおのがそれについて真摯に考えること。傍観者ではいけない、このまま風化させてはいけない、ということを私自身も学びました」と締めくくった。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『太陽の蓋』は7月16日より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。