長澤まさみ「わたしはサービス精神だけは旺盛」 女優として躍進し続ける理由
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続けて「黒沢監督の作品に出たいという俳優はたくさんいると思うのですが、求められる人になれるかは、自分の頑張り次第。この世界はとてもシンプルで、おもしろくなかったら使われなくなるし、惰性でできたとしても、それではいつかダメになる。結局は自分が努力し続けなくてはいけない世界なんですよね」とつぶやく。
非常にストイックな考えだが「わたしは『東宝シンデレラ』オーディションでデビューしているのですが、大きな会社ですし、安定しているというイメージもありますよね。ただ、若いころから自分が得をしている人間だと思ったら負けだと感じていたので、努力しないといけないという気持ちはずっと持っていました」と心情を吐露する。
近年の高評価に対しても「まだまだです。もっとできるようにならなければダメ」と自己採点は厳しいが「この間までやっていた『キャバレー』というミュージカルでご一緒した松尾スズキさんから『まさみちゃんはすごい負けず嫌いだよね』と言われたんです。確かにできないことに対して悔しいという思いは強いのですが、一方で『まあしょうがないかな』と楽観的な考えも持っていたので、あまり自分の感情に気づけていなかったんです。確かに根性だけでやってこられたような気もしますね」と笑う。
2000年に女優デビューしてから17年という歳月が流れたが「作品に入っているときに逃げ出したいと思ったことはありませんが、それ以外では女優という仕事を辞めたいと思ったことはあります」と語った長澤。それでも「良い意味でも悪い意味でも女優って自分と向き合う仕事だから、嫌な自分も知ってしまうんですよね。でも、自分の嫌な部分を知ると、人に優しくなれたりもできるんです。やっぱり深い仕事なんだと思います」としみじみと語った。(取材・文・写真:磯部正和)
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