福田麻由子、「芝居自体ができなくなった」10代後半 女優人生20年目の今を語る
「子どもの頃から、一生この仕事を続けたいと思ってきました。その気持ちがブレたことはないし、ひとつひとつのお芝居を本気でやってきました。だけど、仕事なんだから、ただ役になるだけじゃダメなんじゃないかと考えるようになっていた…。どういう風に見えるのか、お客さんを楽しませるにはどうしたらいいのか。もちろんそうした意識も大切だけれど、そこに縛られてしまった。ちゃんとやらなきゃとがんじがらめになって、芝居自体ができなくなってしまったんです」。
しかし福田は立ち止まらずに、行動を起こした。
「人間として自分が変わらなければ、本物の役者になれないと感じました。それで、二十歳くらいのときに1年ほどワークショップに通い、そうしたこととはまた別に、アルバイトもしました。冷凍の荷物の仕分けとか、教科書の分別とか、1日中ポスターを丸めるとか。役者を続けたいからこそ、芝居以外のことにも触れようと」。
自分自身を模索するなか、立った舞台が転機へとつながっていった。
「『まゆをひそめて、僕を笑って』という、加藤拓也さん作・演出の恋愛劇でした。そこで自分をさらけ出すことができた。観てくれた方々にも、それまでの福田麻由子ではなく、恋愛をしているひとりの女性ジュリアとして観てもらえた感覚があったんです。その辺から、徐々に子役から、ひとりの役者へと自分自身の意識も変わっていったのだと思います」。
(C) 2018映画『ラ』製作委員会
そうして『ラ』で、「すべてを捧げた」ゆかりと出会う。
「どっぷり浸かってみて、でも私、大丈夫だと思えた。私は本当にお芝居が好き。そこはずっと変わっていません。変に自分を客観的に見始めて、芝居自体ができなくなってしまった時期もありましたが、とにかく自分の好きなように、余計なことは考えずにやってみようとやったら、そのほうが自分にも周りにも還元できるものが多かった。頑張りたいという気持ちだけで空回りしていたのが、どこに力を入れたらいいのか、見えてきた感じがあります」。
吹っ切れたように柔らかな笑みを浮かべる福田。その女優人生は、これまでの20年を経て、これからの20年、そしてさらに先へと、続いていく。(取材・文・写真:望月ふみ)
映画『ラ』は全国公開中。