監督抜てきは「ゴジラへの愛の深さが決め手」 夢中になった少年時代、夢が現実に
その一方で、「これまでゴジラ映画に登場したモンスターに敬意を払いつつ、アップデートをしたかった」とも語るドハティ監督。今回、モスラやラドン、キングギドラなど、神話時代のモンスターが登場し、監督自らがデザインしたモンスターも登場するが、その造形にはこんな思いが込められている。「自然の素晴らしさ、生き物の存在の大切さを強く訴えているところもゴジラ映画の魅力。だから、自然界から生まれたものとして、例えばトカゲだったり、ヘビだったり、鳥だったり、昆虫だったり…実際にいる生き物の特徴を取り入れたモンスターを描きたかった」と思いを明かす。
さらにドハティ監督は、庵野秀明監督作『シン・ゴジラ』についても言及。「もう何度も観ているよ。とても融和性があって、今風でスマートな印象を持った。美しさと恐怖の両方を兼ね備えたバランス感覚は、日本人ならではの特徴のような気がするし、ユニークな方向へ大胆に持っていく勇気も、ゴジラの母国である日本人だから持ちえるものかなと。ハリウッドは、大作や重要な作品になればなるほどマーケットを意識したフォーマットがあって、それから逸脱してはいけないというルールがある。だから、独自路線を貫いた『シン・ゴジラ』には驚かされたよ」と脱帽した。
マイケル・ドハティ監督
なお、本作には、科学兵器オキシジェン・デストロイヤーが再登場したり、ゴジラ、モスラのオリジナルテーマ曲が使われていたり、武器やロケ地、キャラクターなど、細部にわたり、1954年の初代『ゴジラ』へのオマージュが捧げられているのだとか。「これは、長年ゴジラを愛し続けてきた皆さんへのサプライズ。それを発見する楽しさもこの映画の魅力」とアピールするドハティ監督。とっておきのサプライズは、少年時代、共にゴジラに夢中になった親友2人の名前をエンドクレジットに明記したことだそうだが、「これは僕らにしかわからないサプライズ。さりげなく気付いてくれて、喜んでくれたらうれしいな」と、懐かしい日々に思いを馳せていた。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は公開中。