香取慎吾、白石和彌監督との“共鳴”を明かすも「お芝居は嫌いですね(笑)」
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白石監督の『凶悪』、『日本で一番悪い奴ら』、『孤狼の血』といった作品では、一線を越えて悪に手を染めた者たちやそこに対峙する人々が魅力的に描かれているが、本作の郁男は、あくまでも愛する人を失った被害者の側の人間であり、愚かではあるが、決して“悪”ではない。
白石和彌監督
白石監督は「その違いはずっと感じていました。法を犯したダメなやつ、加害者を撮る方がずっと楽ですね。被害者の心の救済…、『凪待ち』というタイトルですが、何をもって凪と言えるのか? 答えが出ない苦しさがあった」と振り返る。白か黒かで描くことのできない人物像、その苦悩、そこから這い上がっていく姿を繊細に表現しうる俳優として、白石監督が選び、託したのが香取だったのだ。
白石和彌監督、香取慎吾
そんな最大限の賛辞をよそに、香取は「お芝居は嫌いですね(笑)。最近はあまりハッキリ言わず『苦手な分野』と言うようにしてますけど」とあっけらかんと語る。それでも、俳優を続ける理由は何か?「昔からよく、草なぎ(剛)と互いの出演作を見て『あのシーン、演じてて気持ちよかったでしょ?』とか話すんですけど、ボロボロで泣き叫んだり、実生活ではできない感情の表現を役の上でできるんですよね。それがあるから、苦手でもやめないんだと思います」。(取材・文: 黒豆直樹 写真:高野広美)
映画『凪待ち』は全国公開中。