上野樹里、17歳で心に留めた監督からの言葉「スターを目指さなくていい」
■改めて感じた家族の絆「なんてすてきな家族に嫁いだんだろう」
先週までの放送では、父が書いた東北への転出届を朝顔が見つけるシーンもあり、今後2人の関係にも変化が見られる。
「朝顔は、本当はお父さんとずっと一緒に暮らしていたいけれども、同時に、お父さんには自分で自由に選択をした人生を生きてもらいたいとも思っています。愛情があるからこそ、お父さんの決めたことは寛大な気持ちで受け入れたい。そして、お父さんが困ったときには、自分の休みを削ってでも手助けしようと思っているんです」と朝顔の思いを代弁した。
朝顔と平の関係に代表されるように、“家族の絆”は本作の重要なテーマとなっているが、上野自身が感じた“家族の絆”を尋ねると、義父の和田誠さんとのエピソードを教えてくれた。
「誠さんがお亡くなりになられたとき、大きなお葬式をしてほしくないという願いがあるだろうと家族だけで見送らせていただいたのですが、みんなが誠さんのために持ち寄ったものがすごくすてきだったんです。夫(和田唱)は大事にしていたオリジナル版のフランク・シナトラのレコード、(義母の平野)レミさんは誠さんが大好きなものを詰めたお重を作ってきて…。誠さんはデニムが大好きで、いつも履かれている方だったので、お見送りの際にはみんなでデニムを履いて、大好きだったシナトラの曲をかけながら、温かい雰囲気の中、お見送りできました。その時に、なんてすてきな家族に嫁いだんだろうって強く感じました」。
■「スターを目指さなくていい」「普通がいい」17歳で心に留めた言葉
2021年には、女優デビュー20周年を迎える上野。改めてこれまでの女優人生で「一つとして無駄な出会いはなかった」と振り返る。「全部が今の私を作っていると思う」と話す中でも、上野が17歳のときに撮影を行い、翌2004年に公開された主演映画『スウィングガールズ』は特に思い入れが深く、「大事な出会いだった」といい、心に留めた言葉があった。
「(『スウィングガールズ』の)矢口史靖監督との出会いは、特に私にとって大きなものでした。監督から当時、『スターを目指さなくていい』という言葉をいただいて、ハッとさせられたのを覚えています。どうしても、主演を務める回数が多いと、自分が人よりも何か一つでも優れていなきゃいけないという気持ちや焦りが出てきてしまいがちなのですが、監督は『スターになるとつまらない。普通がいいんだ』と言ってくださった。その言葉は、私に今でも大きな影響をもたらしていると思います」。
矢口監督の「普通がいい」という言葉は、本作のヒロイン・朝顔にも当てはまる。上野は「朝顔は特別に何かが優れている、カッコいいヒロインじゃないというのも、私にはうれしい。朝顔を演じることができて幸せだなと改めて思います」とほほ笑んだ。
2020年から2021年まで年をまたいで放送される本作。上野は、改めて2020年を「当たり前の日常が奇跡の連続だったことを改めて意識した1年でした。より人に優しく、より周りの人たちと支え合うことを考えさせられました」と述懐。そして、「新年は気持ちよく迎えたい。そして、震災を含めて、忘れてはいけない心はしっかりと抱えていきたいです」と前を見据えた。(取材・文:嶋田真己 写真:高野広美)
月9ドラマ『監察医 朝顔』第2シーズンは、フジテレビ系にて毎週月曜21時放送。