香里奈「モデルのくせに」の言葉を糧に 負けず嫌いで続けた女優活動20周年
2000年からファッション雑誌の専属モデルとなり、翌年からスタートさせた女優業が今年で20周年となる香里奈。所属する芸能事務所・テンカラット設立25周年を記念した映画『おもいで写眞』で、事務所の後輩・深川麻衣が演じるヒロインを見守り支える、ホームヘルパーの美咲に扮している。そんな美咲を、自然に演じ、包み込むような優しさを醸し出す彼女に女優としての20年を振り返ってもらった。
【写真】香里奈、黒髪でイメージ一新!映画『おもいで写眞』出演シーン
■イメージ一新で新境地「包容力のあるお母さんのような存在」
本作は、『心が叫びたがってるんだ。』の熊澤尚人監督が自身の小説を映画化。メイクアップアーティストになる夢にも破れ、東京から富山へと帰ってきた深川演じる主人公・結子が、遺影写真を撮る仕事を引き受けたことをきっかけに、お年寄りや地域の人とのふれあいの中で希望を見いだしていく姿を描いた人間ドラマだ。ホームヘルパー役の香里奈は、黒髪にして、これまでと見た目のイメージを一新。「包容力のあるお母さんのような存在」を意識して役に挑んだという。
(C) 「おもいで写眞」製作委員会
自身が演じた美咲については、「映像で直接描かれることはありませんが、いろんな壁にぶち当たってきた人だと思います。いろんな人との出会いを重ねて、多くを経験してきたのだろうと。だから、結子たちの相談を受けたり、おじいちゃんやおばあちゃんの要求にも対応する人間力を持ち合わせた女性」と語る。
人生経験を経て、成長していったことを伺わせる美咲。香里奈自身にも、経験を積むことで訪れた変化はあるのだろうか。質問に、「変わったことしかないかも」と笑ってみせる香里奈。そして「20年前は子どもだったので、右も左も分からないままに映像の世界に飛び込みました」と、これまでの道のりを教えてくれた。
もともと芸能活動へのきっかけとなったのは、三姉妹の長女・能世あんなだった。「長年に渡りクラシックバレエを習っていましたが、それ1本でご飯を食べていくのは難しい世界だと分かっていました。将来の進路を考えていた時、1番上の姉(あんな)がモデルのお仕事を始めました。すぐに辞めるだろうと思っていましたが、続いている姿を見て、続けられる“何か”があるのかなと漠然と感じたんです。そしたらご縁あって、私も2番目の姉(えれな)と事務所に所属しました」。
■「モデル50、女優50ではなく、モデルでも100%、女優でも100%でやりたかった」
デビュー前のレッスンでは、「鏡の前でポーズの練習をして、本番は鏡のないところでポーズをするので、バレエと共通する部分もあったし、ヘアやメイクの勉強も楽しかった」とモデルへは興味が湧く一方、演技のレッスンは乗り気ではなかったという。
徐々にモデルの仕事が増える香里奈に初めてドラマ出演の話が来た時のことを明かす。
「当時はそんなお話をいただけるありがたみも分からず、『恥かくのは嫌だ』と断りました。それでも説得されて『とりあえず1回やってみるけど、無理だったら絶対に出ない』と引き受けました。そしたら案の定、『モデルさんだから演技が下手だ』とか、いろいろ言われて…悲しかったし落ち込みました」。
女優として苦い第一歩は、負けず嫌いの彼女に火をつける。「『くそ!』と反骨精神が湧いて(笑)。続けていくうちに、『モデルのくせに』と言われても、『はい。モデルですけど、何か?』と言えるようになりました。『モデルですけど、演技しちゃいけないですか?』と」。
主演作を含め、仕事を積み重ねるうちに、そうした強さが自然と身に付いていった。「今の事務所に移籍することになって、女優業も本格的にさせていただくことになりました。ただ、モデルを辞める気は絶対にありませんでした。当時、モデルをやめて女優に転身する方が多いなか、私は、モデル50、女優50ではなく、モデルでも100%、女優でも100%でやりたかったんです」。
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