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浅野ゆう子、コロナ禍で迎えた還暦「人生に改めて向き合う時間をもらった」

エンタメ

★コロナ禍で迎えた還暦 47年の芸能生活で迎えたターニングポイントとは?

 「少々照れくさくて大きな声では言えませんが、昨年なんと還暦を迎えさせていただきました。数年前から“還暦”に対する特別な思いが自分の中にはあったのですが、コロナ禍で意外とさらっと迎えちゃいました。人生というものと改めて向き合い、生きていくことを前向きに考える時間をもらった1年だったかなと思います。神戸におります高齢の母がもし感染したら会えないのだろうか、もし自分が感染したら60過ぎは命の危険に直結する可能性も高いのか、と母のこと、家族のこと、仕事仲間のこと、自分のこと…本当に丁寧に生きていくということの難しさを考えさせられる時間だったのかなと感じています」。


 1974年のデビューから47年。この間、大きなターニングポイントはいくつも迎えた。

 「振り返ってみて初めて『あぁ、あの時が』と、気付くのかなぁと。トレンディドラマに出させていただいたことは大きな転機でした。あのトレンディドラマがなければ、今こうしてお話を聞いていただくこともなかったでしょうし、私はなんて幸運な人間なんだろう、ラッキーだったなと思っております。


 1995年公開の映画『藏』という作品も心に残る作品でした。そこで“母”のような立場の役を演じる機会をいただき、自分の中で少し大人に転換できたのかなという思いがあります。そして『大奥』では、悪役、ヒールというものがこんなにも楽しいものなんだということを経験させていただきました。これから私は悪役もどんどんやっていきたいなという気持ちにさせていただいた作品でした。大奥総取締・瀧山は悪役だと思っていたら、多くの女性からすごく好きというお声をいただき、自分の中では最初“?”マークだったのですが、瀧山は徳川命とお家第一に考え一生懸命に生きている切ない女性でしたので、そこを心で感じていただけた結果なのかと逆に教えていただけた作品でもありました」と振り返る。

★女優として、女性として夢見る生き方は?

 20代、30代、40代と、多くの女性から憧れられる存在として魅力を増してきた浅野だが、この先の人生、どのような輝きを目指しているのだろう?

 「女性として遅まきながら配偶者を持つことができました。一緒に生きていくということの大切さを初めて教えられた気がしています。本当に2人の時間を大切にしています。いつ何が起こるか分からないという、刹那的ではありますけどそういう時代になってきていますので、毎日を大切に、ささいなことでも笑いあえる楽しい時間を生きていかなくてはと思っています。


 女優としましては、40代になってからと遅めのスタートかもしれませんが、1年に1本は舞台に立たせていただきたいと考え、仕事を組んでもらっています。1つの役を時間をかけて演じていくということは映像ではなかなかできないことです。なので、お稽古を重ね時間をかけて作り上げていけるというのは本当に勉強になるんです。年齢関係なくお勉強させていただける場所だと思っていますので、役者を続けられる間は舞台を続けさせていただきたいと思っています。

 そんな中、2019年に『細雪』という文芸作品に出演させていただきました。そこで、素晴らしい純文学の王道の作品はずっと受け継いでいかなければいけないという気持ちを強く持ちました。コロナ禍での新しい生活様式になろうと、いつの日か、王道の純文学をお届けできる場に立たせていただけるのであれば、女優・浅野ゆう子にとってそんな幸せなことはないと、夢のように思っております」。(取材・文:編集部 写真:高野広美)

 舞台『魔界転生』は、東京・明治座にて5月18日~28日上演。※詳細は舞台公式HP参照。

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