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由紀さおり、「女優になりたい」という夢破れ歌手の道へ

映画

●目標に向かって一歩踏み出す勇気を伝えたい

 由紀の不安とは裏腹に、快進撃は止まらなかった。NHK紅白歌合戦に10年連続出場を果たし、声楽家の姉・安田祥子とのデュエットで日本に童謡ブームを巻き起こす。さらには世界的アーティスト、ピンク・マルティーニとコラボレーションしたジャズアルバム『1969』が高い評価を受けるなど、“歌手”という一つのカテゴリーの中でも、歌謡曲という枠にとどまらないダイナミックな活躍を見せる。


 「うちの母がよく言っていた言葉に、『憂きことの なおこの上につもれかし 限りある身の力ためさん』というのがあるんですが、誰でも大なり小なり、憂いに思うことは何度もあるけれど、そこを乗り越えるために努力をし続けることの大切さ。野村克也さんが生前おっしゃっていた『努力に勝る天才なし』という言葉はまさにそうですね。天才も努力しなければ凡人になる。私も皆さんの見えないところで葛藤はありましたが、これらの言葉を座右の銘にして、なんとかがんばってきたという感じですね。私の今生での役割はこれでいいんじゃないかと心から思っています」。

 今回、映画のモデルになった河本さんのバラ作りに対する情熱、そして由紀が演じた主人公・冬子の「ハンググライダーで空を飛ぶ」という夢をあきらめない姿に大いに刺激を受けたという由紀。「私たちの年代になると、活動的になりたくてもなれない障害がいっぱいあるけれど、そこを果敢にやり遂げるこの映画は、前向きに生きる勇気を与えてくれる。私自身も健康や気持ちの面でなかなか思うようにいかない時もあり、1日1日が勝負になるけれど、臆病にならず、周りのいろんな方からアドバイスをいただいて、歌うこと、表現することを一生懸命に実践しています。だから皆さんも、この映画をご覧になって、一歩踏み出す勇気を持っていただきたい。これは、私からの同年代へのエールだと思っています」。


 日々、ウォーキングやパーソナルレッスンで体をケアし、バラやアジサイなど植物を育てながら、「自分も今年も咲かなきゃ」と気持ちを高めているという由紀。コロナ禍でコンサートもままならない中、YouTube『由紀チャンネル』をスタートさせ、ますます前向きに“今”を生きる由紀の姿が、岐阜の大空を舞う冬子に重なる。(取材・文:坂田正樹 写真:高野広美)

 映画『ブルーヘブンを君に』は6月11日より全国公開。

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