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ツイッターでの批判きっかけに対談が実現 ふくだももこ監督×児玉美月が語る『ずっと独身でいるつもり?』

映画

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ふくだももこ

児玉美月

■ふくだ監督が脚本を書かなかった理由

児玉:ふくだ監督は脚本を書く能力がものすごく秀でていらっしゃると、『おいしい家族』(2019)で特に感じたのですが、本作では脚本を書かれなかったですよね。企画当初からその選択肢はなかったのでしょうか?

ふくだ:順を追って話すと、私には現在子どもがいるのですが、パートナーはおらず、つまり結婚を選びませんでした。理由はたくさんありますが、あえて言語化するならば“まったく別の環境で育ってきた他者と生活をする覚悟”が私にはなかったからです。そんなこともあって、作品のテーマ自体に自分が100%乗ることができなかったので、監督・脚本でというオファーが来ていたら、そもそも引き受けないという選択肢を取ったと思います。では脚本をどなたにお願いしようかとなったときに、坪田文さんだったらポップに、私とは違う切り口、それこそ「独身でいるとかいないかとか、うるせーよ」という脚本にしてくれそうだなと思ってお願いしました。そして、以前坪田さんと仕事をしたときに、自分が書いた作品を守るために、プロデューサーたちと闘う姿がものすごく印象的でした。今回は男性プロデューサーばかりでしたし、正直に言うと私は“一緒に闘ってくれる味方”が欲しかったんだと思います。

児玉:坪田さんはアニメ作品の脚本も手掛けられているので、登場人物がそれぞれキャラクター化しているのはそういった背景に由来しているのかもしれないですよね。

ふくだ:坪田さんの妙味はそこですね。時代設定や人物描写を考えると、原作をそのまま映画にするべきではないと思っていたところ、プロットの段階で、すでに4人のメインキャラクターが生まれていました。実は、本作には、わたしや坪田さん、打ち合わせに参加していた女性のスタッフの実体験も盛り込まれていています。私たちが盛り上がれば盛り上がるほど、男性のプロデューサーたちが閉口することも…(笑)。ただ、このようなテーマを描くとき、男性と女性の対立構造のようになってしまうのは、貧しいことだとも思うんです。

児玉:初見時に私が気になったのはそこです。「女性の連帯」をテーマにしたとき、もっと大きな敵は別にいるので、決して男性を仮想敵にしてはいけないと思います。本作では最終的に公平はまみに暴力まで振るうし、男性たちの人物造形が好意的とは言い難いので、わかりやすい形で男女の敵対構造が立ち上がっているように見えてしまいました。人物造形のさじ加減はふくだ監督の方で調整もできたはずですが。

『ずっと独身でいるつもり?』場面写真 (C)2021日活
ふくだ:男性キャラクターは、あれでも全員マイルドにしました。坪田さんが当初書いた脚本では、男性たちが本当に冷たい人たちで、1つずつ「ここは変えてもいいですか?」とお話ししました。たとえばインスタグラマーの高橋彩佳(徳永えり)の夫・佑介(松澤匠)も、育児をまったくしなかったし、本読みでは松澤さんが本当に嫌なやつとして演じられていました。なので松澤さんには、彼も彼でこの社会構造に無自覚のうちに巻き取られて、家庭などを顧みれなくなってしまっている男性なのだということを、かなり言葉を尽くして理解していただきました。映画を観た男性たちは「男性こそ観なければいけない映画だと思いました」と言ってくれるので、そのときに初めて私たちが普段感じていることは、一部の男性たちにとっては、新鮮な気付きになるのだと感じました。

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