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ツイッターでの批判きっかけに対談が実現 ふくだももこ監督×児玉美月が語る『ずっと独身でいるつもり?』

映画

『ずっと独身でいるつもり?』場面写真
『ずっと独身でいるつもり?』場面写真 (C)2021日活

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ふくだももこ

児玉美月

 田中みな実主演の映画『ずっと独身でいるつもり?』が19日に公開された。本作は、田中演じる有名ライターの本田まみを中心に、それぞれ異なる生きづらさを抱えた4人の女性たちを映し出す物語。結婚、仕事、子育てなど、華やかな都会で生きる女性たちの孤独や寂しさ、希望を描く。しかし、そんな本作について映画執筆家の児玉美月氏は、ツイッター上で疑問を呈した。“独身でも女性は幸せに生きていける”という本作のメッセージは、現行の婚姻制度に多くの議論がなされる2021年を生きる人々に響くのかーー。そこで今回クランクイン!では、児玉氏と本作のメガホンを取ったふくだももこ監督の対談を実施。本作が描く結婚についてや、映画オリジナルキャラクターの鈴木美穂(松村沙友理)の存在などについて語ってもらった(※以下、ネタバレを含みます。ご了承のうえ、お読みください)。

【写真】対談を行った、ふくだももこ監督&児玉美月氏

■企画段階からあった、ふくだ監督の葛藤

児玉:今回の対談は、私がツイッター上でした本作への厳しい批判がきっかけでした。批判から始まるという珍しい対談なので、どうなるのか少し緊張しています。

児玉美月氏のツイッター
ふくだ:実は児玉さんのツイートを、何の気なしに共感のつもりでいいねをしたら、その後に自分の映画のことだ! と気付きました(笑)。すぐにその投稿に対してコメントを書いたんですが、映画のいち感想に監督が絡むのはどうしたって圧力をかけてしまうし、対等な関係ではないので、今後気をつけようと思いました。

ただ、私は普段から児玉さんのツイートに賛同していましたし、コメントやDMで児玉さんとお話することができて本当によかったと思っています。児玉さんが、私とのやりとりを“対話”だとおっしゃってくださったことは、何よりも救いでした。そのやりとりがあってすぐ「公の場で児玉さんと話をしたい」と宣伝部の方に連絡し、今日に至ります。

ふくだももこ監督のツイッター
児玉:公開前ということもあって一応作品名を伏せて書いたので、まさか監督から反応がくるとは思わず驚きました。私は普段から映画の書き手として、性的マイノリティーの問題にもコミットしているので、異性間の法律婚のみをテーマにしている『ずっと独身でいるつもり?』を、批判的な視座なしには観られません。

まず日本では、婚姻の権利が同性同士に開かれておらず、劇中でも一瞬触れられているように、選択的夫婦別姓さえ達成されていません。現状の婚姻制度そのものに問題があるため、仮に女性が結婚せずとも一人で幸せに生きられるのだと気付きを得たとしても、その先は現実問題として厳しい。日本社会では男女間での賃金格差も明確にありますし、女性一人が生きていけるような仕組みが設計されているとは到底思えません。どう頑張っても自分たちの心の持ちようだけではどうにもならないのに、結婚から解放されて一人でも生きいけるのだとポジティブなメッセージを送られたとしても、空虚なのではないかと疑問を呈しました。現状の日本社会に諸悪の根源があるようなものなので、映画に対する批判としては厳しいと重々承知しながら書いたのですが…。それでも、本作が送り出される土壌となる現実社会との兼ね合いを、作り手は無視してはいけないはずです。

『ずっと独身でいるつもり?』場面写真 (C)2021日活
ふくだ:実は、その悩みはこの企画が始まった時からありました。おかざき真里さんの原作漫画を読んでほしいと言われて読んだのですが、漫画は2015年の作品。漫画自体は素晴らしい作品ですが、テーマに関して言えば「私たちは、まだこんなことを描かなければいけないのか」と率直に思いました。「結婚する/しない」ということは個人の自由です。そもそも法律的に結婚できない人たちにとっては、選択肢があること自体が“特権”ですよね。だから児玉さんの批判の内容を、真っ先に感じていたのは、ほかでもなく監督である私自身だったんです。ただ、国や社会や親なんかは、「絶対に結婚しろ」という圧力をかけてくる。その圧力に押しつぶされそうになっている人たちのことも、無視できないと思いました。

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