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ツイッターでの批判きっかけに対談が実現 ふくだももこ監督×児玉美月が語る『ずっと独身でいるつもり?』

映画

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ふくだももこ

児玉美月

■オリジナルキャラ鈴木美穂(松村沙友理)について

児玉:いわゆる「女性映画」と呼ばれるような映画であっても、女性観客のみならずどんなジェンダーの観客にも開かれていくべきでしょうし、ふくだ監督の微調整は英断だったと思います。一方女性キャラクターの方ですが、私は全員ステレオタイプな描き方がされているように見えました。特に、松村沙友理さんが演じた「パパ活女子」として描かれていたオリジナルキャラクターの鈴木美穂は、戯画化されすぎているように感じられます。ほかの女性たちが結婚はしなくてはいけないものという抑圧の下で「結婚をするかしないか」で悩んでいるなか、美穂は「結婚はつまらないもの、遠ざけたいもの」として真逆のベクトルで結婚を捉えているように見えたので、女性の結婚観のバリエーションを導入するために入れたのかなと私自身は解釈しました。

『ずっと独身でいるつもり?』場面写真 (C)2021日活
ふくだ:さすがです! 美穂を入れた理由については、まったくその通りです。それは坪田さんも言っていました。タイトル自体が「ずっと独身でいるつもり?」ですが、完全に結婚だけをテーマにしたくなかった。だから美穂というキャラクターは、たしかに誇張しているように見えるかもしれませんが、私たちなりのそんな葛藤も反映されているので、すごく愛着があります。

児玉:今回キャスティングにあたって、若さやルッキズムによる抑圧的な影響を受けやすいアイドルという職業に就いていた松村さんと、役柄の相関性は意識されていたんでしょうか?

『ずっと独身でいるつもり?』オフショット (C)2021日活
ふくだ:松村さんご自身がどう感じているかはわかりませんが、彼女がアイドルという職業だった以上、私の中には彼女と美穂の“若さやルッキズムによる抑圧”という価値観には通ずるものがあるのでは? と考えていました。同時に、嫌いな言葉ですが“清純派”として求められる彼女と真逆の印象である“パパ活”をつなげて、何か化学反応が起こるのではないか、という目論見もありました。

ただ、美穂のホテルのシーンに関しては、監督として胸が引き裂かれるような思いでした。編集で切るなど試行錯誤してみたものの、私自身の撮り方が良くなくて入れざるをえなくなってしまい…。これから何が起こるか、どういうことをされるかというのは前もって彼女に伝えてもらってはいましたが、私がやるべきことは、現場できちんと松村さん本人と話をして、できるだけ彼女の心身の負担を減らすことだったと思います。この間お会いしたときに彼女に謝罪しましたが「事前に聞いてましたし、全然大丈夫ですよー」と言ってくれたものの、もしまた別の作品で性的なシーンがあった場合、たとえ脚本に書かれていることであっても、自分の心に傷を負う可能性があるならば「やりたくない」「できない」という意思表示をしてもいいのだと伝えました。

児玉:映画における性描写は今とてもセンシティブに議論されているところで、たとえばインティマシー・コーディネーターの存在が日本でもようやく認知されはじめたばかりですよね。

ふくだ:えっ、インティマシー・コーディネーターってなんですか!?

児玉:性的な演技が求められる撮影で、製作側と俳優側の調整をする資格を持った方のことです。Netflix映画『彼女』などでも起用されていました。ただ、権威が揺らぐのを恐れているのか、“疎ましい職種”として否定的な態度を示していた方がいたのも事実です。

ふくだ:ぜひそういう方がいてほしいです! 日本の映画業界ではまだまだ十分にケアされていないのが現状だと思います。今回は、メインスタッフの多くに女性を採用したと言っても、ホテルのシーンを撮る現場には男性スタッフも当たり前にいましたし…。

児玉:パク・チャヌク監督は、『お嬢さん』の女性同士のラブシーンで、遠隔撮影などを駆使してなるべく最小限の女性のスタッフだけで撮影したそうですね。今はそうして試行錯誤しながらの模索段階なんだと思います。

ふくだ:最近の日本映画でも性描写に疑問に感じた作品はありましたし、演じる側にとっては、本当に過酷なことが多いと思っています。そこも変えていきたいです。

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