松本まりか、主演作が続く現状に新たな恐怖 キャパはいっぱいでも「逃げちゃダメ」
“遅咲きの女優”ともいわれる松本まりか。内田英治監督が濡れ場をめぐるドタバタを描く衝撃作『雨に叫べば』では、映画の撮影現場で奮闘する“監督役”として主演を務めているが、今年はその他にも続々と主演作がお披露目となるなど、怒涛(どとう)の快進撃を続けている。「主演という立場にはやっぱり憧れがありました」と打ち明けた松本だが、実際にその立場を経験してみると、なかなか仕事に恵まれなかったときに味わっていたものとは違う、“新しい恐怖”を感じていると告白。女優として進化の「第2レベル」と現在地を分析した彼女が、「恐怖から逃げちゃダメ。今の私にプライベートはいらない」とストイックな役者魂をみなぎらせた。
【写真】デニム&スニーカーの松本まりかは珍しい! 80’sファッションもよく似合う
◆「いつか主役をやりたかった」
各配信プラットホームにて配信される本作は、映画『ミッドナイトスワン』(2020)の内田英治監督の最新作。松本の映画初出演は、内田監督がメガホンを取った『ガチャポン』(2004)だった。さらに今年はWOWOWオリジナルドラマ『向こうの果て』でも連続ドラマ初主演として内田監督とタッグを組んでおり、松本は「内田監督とは、驚くほど縁でつながれた1年だったと思います」とほほ笑む。
「『ガチャポン』は私も映画初出演で、内田監督も長編初監督でした。それから15年以上が経って、『向こうの果て』で今度は主演としてお声掛けくださった。“そんなときが来るものなんだなあ”と思って」と感慨深げ。
『向こうの果て』に続き、『雨に叫べば』でも主役を担う。内田監督からのオファーという時点で喜びだったが、「脚本もものすごく面白くて!」と声を弾ませながら「この作品では、80年代の男性社会とも言える映画の撮影現場に飛び込む、力強い役を頂いて。面白い挑戦になると思いました」と新境地にワクワクしたことを明かす。
◆監督役で実感「芝居って面白い!」
松本が演じた花子は、まだ男尊女卑やパワハラの匂いが残る時代の撮影現場で、ベテランスタッフからキツい言葉を浴びせられたり、追い込まれたりしながら、自分が理想とする映画を完成させようと奮闘する。撮影部、照明部、メイク部などあらゆる部署がプライドとこだわりを持って仕事に立ち向かっていく姿も描かれており、「この作品を通してものづくりの面白さも改めて感じた」という。内田監督からは「作品の中で劇的に成長してほしい」とのオーダーがあり、花子の変貌を見事に演じ切ったが、“監督役”として映画の撮影現場を体感したことは「私にたくさんの力を与えてくれました」と貴重な経験になった様子だ。
『雨に叫べば』メインビジュアル (C)2021東映・東映ビデオ
プロデューサー役の渋川清彦や高橋和也、現場スタッフ役の濱田岳、濡れ場を通して開眼していくアイドル俳優役の須賀健太など共演者も豪華で、松本は「芸達者な方々ばかり」とほれぼれとしながら刺激的な現場についてこう話す。
「監督役って大人数のキャラクターと関わり合いがあって、全員の芝居が見られるぜいたくな立ち位置なんです。キャストの中には監督にこびてくる人がいたり、プロデューサーやベテランスタッフにはあきれられたりと、みんながあらゆる感情を花子にぶつけてくる。例えば花子が“カット!”と声をかけた後に“もう一回!”と言うと、みんなが“ああ……”とうんざりした顔をする(笑)。芝居ごとにブワッと空気が変わることが体感できました。皆さんの芝居が本当に面白くて。やっぱり、芝居を見ているのってたまらない快感がある。芝居って面白いなと思ったし、本当にシビれちゃって! 楽しくて楽しくて仕方がなかった。監督役ってぜいたくだなと思いました」。