『パリ13区』、大島依提亜と原作者エイドリアン・トミネがコラボした日本限定ビジュアル
鬼才ジャック・オディアールが監督し、脚本をセリーヌ・シアマが務めたフランス映画『パリ13区』より、デザイナーの大島依提亜と原作者である北米のグラフィック・ノベリスト、エイドリアン・トミネがコラボした日本限定ビジュアルが解禁された。
【写真】原作者、エイドリアン・トミネ
カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『ディーパンの闘い』、グランプリ受賞作『預言者』など数々の名作を生み出し、今年70歳を迎える鬼才ジャック・オディアール監督。最新作となる本作は、『燃ゆる女の肖像』で一躍世界のトップ監督となった43歳のセリーヌ・シアマ、32歳の気鋭監督レア・ミシウスと共同で脚本を手がけ、“新しいパリ”の物語を洗練されたモノクロの映像美で大胆に描き出した意欲作だ。
舞台は、高層住宅が連なる多国籍なパリ13区。コールセンターで働く台湾系のエミリーと高校教師のカミーユ、33歳で大学に復学したノラ、そしてポルノ女優のアンバー・スウィート。多文化で活気あふれる現代のパリで、ミレニアル世代の若者たち4人が、不器用で愛おしい人間模様を繰り広げる。
原作は、北米のグラフィック・ノベリスト、エイドリアン・トミネによる3つの短編。グラフィック・ノベルとは、漫画とセリフを組み合わせた、高い文学性や芸術性を持つ書籍のこと。ポルノ女優にそっくりなことで悩む女性を描いた「アンバー・スウィート」、コメディアンを目指す口下手で吃音の少女と家族の物語「キリング・アンド・ダイング」、オペレーターをクビになり、気晴らしのいたずらを始める「バカンスはハワイへ」(「サマーブロンド」収録)という、珠玉の3短編から物語が紡がれている。
アメリカン・グラフィック・ノベルの旗手と呼ばれるトミネは、過去に『漫画界のアカデミー賞』ことアイズナー賞を受賞。イラストレーターとしての顔も持ち、老舗雑誌「ニューヨーカー」の表紙で広く知られるほか、人気バンド「Yo La Tengo」や「WEEZER」のアートワークを手がけるなど多方面で活躍している。さらに最新作の自叙伝「長距離漫画家の孤独」が、A24と『ミッドサマー』のアリ・アスター監督のプロダクションによってアニメ化されることが決まるなど、現在最も注目を集めるアーティストの一人だ。日本でもその人気は高く、漫画家でイラストレーターの江口寿史氏らがファンを公言している。
トミネの原作について、オディアール監督は「その簡潔さや思慮深さ、気まぐれで哀愁に満ちた登場人物、巧みな省略、そして、人間一人ひとりを小さな深淵のように底知れない存在として捉えている点に、私は心惹かれたのです」と絶賛している。
今回解禁されたのは、そんなトミネのイラストを用いた日本限定ビジュアル。4人の主人公であるエミリー、カミーユ、ノラ、アンバー・スウィートがそれぞれの方向を向き、まさに物語の中で交差する人間模様を思わせる。
このイラストは、元はアメリカ公開にあたりポスタービジュアル案として描き下ろされたラフスケッチの一つで、トミネのインスタグラムで公開されているのみだった。しかし、日本でのデザインを手がけた大島依提亜のラブコールにより、トミネが日本だけのために新たに描き下ろすことに。二人のコラボレーションによって、世界に一つだけの日本限定ビジュアルが完成した。
今回のコラボレーションについて、大島は「待望のジャック・オディアールの新作に関われるというだけで狂喜乱舞なのに本作の原作が敬愛しているエイドリアン・トミネと聞いてすっかり舞い上がってしまいました。であれば!とダメ元で、日本版オリジナルポスター用に描き下ろしをお願いできないか聞いてもらったところ快く引き受けて頂き、最高な絵を仕上げて下さいました。トミネからのリクエストは“日本語が大好きなので日本語のタイトルも入れて欲しい”とのこと。舞台となるパリ13区の中華街の看板をイメージした日本語タイトルロゴを入れました」と語っている。
なお4月22日の公開初日に、本ビジュアルのステッカーが入場者特典として配布される(一部劇場にて。数量限定)。さらに、本ビジュアルをデザインしたオリジナルグッズが当たるSNSプレゼントキャンペーンも実施される予定。詳細は『パリ13区』公式ツイッターアカウントにて。
映画『パリ13区』は、4月22日より全国公開。