「第31回日本映画プロフェッショナル大賞」、作品賞は『偶然と想像』 主演賞は瀧内公美&成田凌
「第31回日本映画プロフェッショナル大賞」が発表され、俳優の成田凌が映画『まともじゃないのは君も⼀緒』で主演男優賞、女優の瀧内公美が映画『由宇子の天秤』で主演女優賞を受賞。作品賞は濱口竜介監督作『偶然と想像』が獲得した。
【写真】主演男優賞を受賞した成⽥凌『まともじゃないのは君も一緒』で数学一筋の男を好演
「日本映画プロフェッショナル大賞」は、1992年にスタートした映画賞で、既成の映画賞とは一線を画しつつ、高い評価を得た作品や個人を中心に、映画関係者による選考委員の投票および実行委員会の独自の評価で贈賞を決定する。
昨今の状況に鑑み、授賞式は開催されないが、受賞者には記念の楯が贈呈される。
成田が主演男優賞を受賞した前田弘二監督作『まともじゃないのは君も⼀緒』は、世の中の〈普通〉になじめない、おかしな2人を描く物語。数学一筋で世の中の常識や普通が分からない予備校講師・大野(成田)は、その教え子で、恋愛未経験ながらSNSなどあらゆる情報から世の中を知っているつもりでいる香住(清原果耶)によって初めて異性に好意を抱く。香住が「女の人と付き合えるようになる練習」と言って、ある女性に大野を接近させることで、 物語はおかしな方向へ進んでいく。
一方、瀧内が主演女優賞を受賞した春本雄二郎監督作『由宇子の天秤』は、超情報化社会の問題や矛盾を真正面からあぶり出す。女子高生いじめ自殺事件を追っていたドキュメンタリーディレクターの由宇子(瀧内)は、テレビ局の方針と対立を繰り返しながらも事件の真相に迫りつつあった。そんな時、由宇子は学習塾を経営する父が起こした“ある行動”を知り、衝撃を受ける。「“正しさ”とは何なのか?」。ドキュメンタリー作家として常に真実を明らかにしたいという信念に突き動かされてきた由宇子は、究極の選択を迫られる-。
作品賞を受賞した『偶然と想像』は、濱口監督の短編映画集で、『魔法(よりもっと不確か)』『扉は開けたままで』『もう一度』の3編からなる。古川琴音、中島歩、森郁月、甲斐翔真らフレッシュな顔ぶれが濱口作品に初出演。そして濱口組出演経験のある玄理、渋川清彦、占部房子、河井青葉ら個性豊かな俳優陣も出演している。第71回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)、第17回CineFest ミシュコルツ国際映画祭では最高賞のエメリック・プレスバーガー賞を受賞している。
2021年ベストテンと個人賞は以下の通り
◆2021年ベストテン
1位 『偶然と想像』
2位 『由宇子の天秤』
3位 『あのこは貴族』
4位 『いとみち』
5位 『すばらしき世界』
6位 『茜色に焼かれる』
7位 『空白』
8位 『花束みたいな恋をした』
9位 『草の響き』
10位 『BLUE/ブルー』
◆2021年個人賞
作品賞:『偶然と想像』
主演女優賞:瀧内公美(『由宇子の天秤』)
主演男優賞:成田凌(『まともじゃないのは君も⼀緒』)
監督賞:春本雄二郎(『由宇子の天秤』)
新人監督賞:松本壮史(『サマーフィルムにのって』)
特別賞:孫家邦(『花束みたいな恋をした』製作)
特別賞:函館市民映画館シネマアイリス(長年の功績に対して)
特別功労賞:澤井信⼀郎(映画監督としての長年の功績に対して)