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『母性』湊かなえ「廣木監督だから撮れた奇跡の映画」 バンクーバー国際映画祭でワールドプレミア開催

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映画『母性』バンクーバー国際映画祭でのワールドプレミアに参加した原作・湊かなえ&監督・廣木隆一
映画『母性』バンクーバー国際映画祭でのワールドプレミアに参加した原作・湊かなえ&監督・廣木隆一(C)2022映画「母性」製作委員会

 女優の戸田恵梨香が主演を務め、永野芽郁が共演する映画『母性』のワールドプレミアが、バンクーバー国際映画祭にて現地時間10月5日開催され、原作者の湊かなえと廣木隆一監督が舞台あいさつに登場した。

【写真】たくさんの観客に囲まれる湊かなえ&廣木隆一監督

 本作は、累計発行部数120万部を突破した湊かなえの同名小説を映画化。ある未解決事件の語り手となる母娘を戸田と永野が演じる。

 バンクーバー国際映画祭で今年から新設され、観客賞の対象にもなっている「ショーケース」部門に出品された本作。同映画祭で行われたワールドプレミアには、過去に『ここは退屈迎えに来て』などでもバンクーバー国際映画祭へ度々招待されている廣木監督と、原作者・湊かなえが参加。2人が少々緊張の面持ちを見せながら舞台あいさつに登場すると、満員の観客からとびきり盛大な拍手で迎えられた。

 廣木監督は久々のバンクーバーの観客からの温かい歓迎に「今日はありがとうございます。上映後もQ&Aセッションがあるのでたくさん質問してください。そして映画を楽しんでください」と喜びもひとしおの様子。そして今回が映画祭初参加となった湊は「今日はありがとうございます。話すとネタバレになってしまうので(笑)、とにかく映画を楽しんでください」と目を輝かせてあいさつした。

 そしてサプライズで主演の戸田恵梨香からメッセージ映像が流れる一幕も。「この映画は母性に運命を狂わされた、母と娘の物語を描きます。ルミ子は、母親を深く愛していながら、なぜか自分の娘には同じ気持ちを抱くことができない、稀有なキャラクターです。母性とは何か、そしてその資質はいつ得られるのでしょうか。バンクーバーの皆様、ご来場のみなさまがこの映画をどんなふうにご覧になって、どんな感想をお持ちになるのか、とても楽しみにしています」とのメッセージが流れ、上映開始となった。

 上映中には所々で笑い声が起きたり、すすり泣く声が聞かれ、エンドロールが流れ始めると同時に拍手が起こった。そして上映後、廣木監督と湊は大喝采に包まれながらステージに登壇した。

 監督を務めることになった経緯について、廣木監督は「プロデューサーが僕が湊さんの作品を作ったらうまくいくのではとオファーしてくれた」とコメント。湊は、原作者としてキャスティングに参加したかとの質問に、「そこはいつも気になるところかもしれませんが、原作者はこの人にやって欲しいと頼むことはなくて、決まったら報告を受けるだけなんです。今回は母のルミ子が戸田恵梨香さんだと聞いて、え! 戸田さん! もう母親役やるの!と驚いたのですが、完成した作品を観て感激して鳥肌がたちました。今本を読み返しても戸田さんの顔しか浮かばないほど、戸田さんにしかできないと思いました」と大絶賛した。

 本作は日本でどう受け止められると思うかという問いには「母娘の在り方はたくさんあり、正解はないもの。そこに疑問を持ってもらえると嬉しいです。自分だったら母と娘どちらを助ける? 私ならどっち?と考えられる。日常の母娘の中で考えるのはいいことだと思います」と廣木監督。

 湊は「廣木監督はひとつの物語の中に複数の視点が存在する物語を撮るのがとてもお上手なんです。私の小説は同じ物事も視点が変わると違って見えることを書くことが多い。『母性』でも同じ出来事をルミ子・清佳の視点で見るとこんなに表情とか違うんだと見てわかるのが、廣木さんじゃないとできなかったと思います」とコメントした。

 初めて聞く湊の監督への気持ちに思わず「良かった~!」と喜ぶ廣木監督。時間いっぱいまで多くの質問が集中し、“母性”が万国共通で人生の大きなテーマとなることが浮かび上がる濃厚なディスカッションが繰り広げられた。

 バンクーバー国際映画祭 観客賞は、日本時間10月10日の映画祭終了後に発表予定。

 映画『母性』は、11月23日より全国公開。

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