大竹しのぶ、21年ぶりに一人芝居 映画界の巨匠イングマール・ベルイマンの世界に挑む
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さまざまなジャンルのストレートプレイやミュージカルを通して観客を魅了し続ける大竹しのぶが21年ぶりに一人芝居を上演することが発表された。気鋭の演出家・藤田俊太郎とのタッグで、映画界の巨匠イングマール・ベルイマンが紡ぎあげた世界観に挑む。
【動画】操上和美による『ヴィクトリア』ビジュアル撮影風景
ミュージカル『GYPSY』に出演中の大竹が次に挑むのは2002年上演の「売り言葉」(野田秀樹作・演出)で高村智恵子を演じて以来、実に21年ぶりとなる一人芝居。そのタイトルは、登場人物の名前でもある『ヴィクトリア』。映画『野いちご』『沈黙』『叫びとささやき』など数多くの名作でさまざまなヒロイン像を描いてきた映画界の巨匠イングマール・ベルイマンが手がけた異色の作品だ。
原題『A Spiritual Matter』(魂の問題)が示唆するように、ある女性の自分の魂に語りかけるような独白を、過去と現在、幻想と現実が融合したかのような手法で描いており、当初、長編映画のために書かれた脚本だ。しかし、女性のクローズアップのワンショットのみでの映像化が求められていたため、その実験的なアプローチゆえに、どの映画会社も映画化を却下。その後、長い期間、ベルイマンの手元で温められ、1990年に彼自身の演出で、映像ではなく、あえてラジオドラマとして初めて世の中に発表された。
ベルイマンが当初、映像の「クローズアップのワンショット」で肉迫しようとしたヒロイン「ヴィクトリア」の魂の独白。それが導くのは、色あせた夢への執着なのか、真実への心の旅路なのか、彼女の現実の姿なのか、幻想なのか…。1人の女性の独白による多面的な心情の動きや、まるで映像を見るかのように鮮やかに広がる情景が大竹しのぶの姿を通して観客の目の前に広がっていく。
演出は、菊田一夫演劇賞、読売演劇大賞・最優秀演出家賞などを受賞し大胆かつ細やかな描写に定評のある気鋭の演出家・藤田俊太郎。大竹と藤田の顔合わせは、2020年の藤田演出による朗読劇「ラヴ・レターズ」以来2度目となり、本作で、いよいよ待望の1対1でのタッグが実現。大竹しのぶ×藤田俊太郎で挑むベルイマンの世界に期待が高まる。
大竹しのぶ一人芝居『ヴィクトリア』は、6月24日~30日東京・スパイラルホール、7月5日~6日・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、7月8日~9日京都芸術劇場 春秋座、7月11日愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて上演。