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『こんにちは、母さん』91歳・山田洋次監督、90本目の新作での“挑戦”とは? プロデューサー陣が明かす撮影秘話

映画

映画『こんにちは、母さん』監督の山田洋次
映画『こんにちは、母さん』監督の山田洋次(C)2023「こんにちは、母さん」製作委員会

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山田洋次

 吉永小百合が大泉洋と親子役で初共演する山田洋次監督最新作『こんにちは、母さん』が、本日9月1日より公開。山田監督にとって90本目の新作となる本作の撮影秘話を、プロデューサーが明かした。

【写真】山田洋次監督、主演の大泉洋と真剣なまなざしのメイキングショット

 山田監督が今回主演に迎えたのは、共に映画界を牽引し続けてきた吉永小百合。共演には大泉のほか、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎、田中泯、YOU、枝元萌らが集結。『母べえ』『母と暮せば』に続く『母』3部作として、吉永小百合の集大成ともいえる作品が誕生した。

 本作で描かれるのは、東京の下町でいまこの令和を生きる、“等身大の家族”の姿。大企業の人事部長として神経をすり減らす毎日を送る神崎昭夫(大泉)。職場でのトラブルに加え家庭での問題にも頭を悩ませる中、久しぶりに母・福江(吉永)が暮らす東京下町の実家を訪ねると、そこにはあでやかなファッションに身を包み、イキイキと暮らす母の姿が…。おまけに母の恋愛事情まで耳にし、久々の実家にも居場所がなく戸惑う昭夫だったが、お節介が過ぎるほどに温かい下町の住民や、これまでとは違う“母”と新たに出会い、次第に見失っていたことに気づかされていく。

 変わりゆくこの令和の時代に、いつまでも変わらない親子の姿を描く本作。原作は、日本を代表する劇作家であり、演出家として数々の名優と舞台を創ってきた永井愛の人気戯曲「こんにちは、母さん」。2001年に公演した際大きな反響を呼び、2004年には再演、2007年にはテレビドラマ化されるなど、今もなお多くの人から愛され続けている。山田監督と永井愛は2001年の初演直後、映画化に向け脚本開発に取り組んだが、その時は実現には至らなかった。

 そして20年以上の時を経てようやく映画化に向けて動き出した時、台本の1ページ目には「隅田川沿いの下町、古びた家並の向こうに、スカイツリーが高々とそびえる『向島』にカメラを据えて、この江戸以来の古い町に暮らす人びとや、ここを故郷として行き来する老若男女たちの人生を、生きる喜びや悲しみを、スクリーンにナイフで刻みつけるように克明に写し取り、描き出したい」という、山田監督の決意がにじむ言葉が記してあったという。

 今年9月には92歳を迎える山田監督。身体に大きく負担がかかるような映画作りは厳しくなってしまったが、「6畳や8畳の狭い空間を舞台にした家族の物語を丁寧に描くことならできる」という想いで本作の撮影に挑んだ。プロデューサーを務めた房俊介は、下町・向島に何度も足を運ぶ監督の姿を目にしていたそうで、「ロケハンから合流した撮影の近森さん、美術の西村さんを監督がお連れしている姿が、自分の地元を案内している添乗員さんのような雰囲気で、とてもイキイキしていたのが印象的でした」と当時の様子を明かす。

 本作の撮影が行われたのは、2022年の秋頃。まだ強い日差しが残り雨も降る中、天気が改善するのを待って撮影が行われた日もあったという。そんな状況下でも下町を熱心に歩き回り、撮影を行った山田監督。その姿を傍で見守っていたプロデューサー・阿部雅人は「監督が長年見つめてきた古き良き下町の風景と、時代によって変わりゆく現代の下町の姿を、嘘1つなく見つめ、鮮明に切り取りたいという監督の強い思いによるものであるように感じられました」と述懐した。

 舞台あいさつで、吉永らキャスト陣が、山田監督らしさは残しつつも、“新しさ”を感じられる作品に仕上がっていると語った本作。下町で懸命に生きる人々を丁寧に描きたいと強く想った監督は、撮影方法にも今までの作品にはないこだわりを見せていたという。房は「『存在している人を真正面からじっくり見つめることで、その人が生きたディテールまでもしっかりとらえたい。今回は長回しが多くなるかもしれないよ』と山田監督が(撮影監督の)近森さんと、ロケハン中の喫茶店でお話しされていました」と明かし、「作品に合わせて変化を加え、チャレンジし続けている監督の姿にはいつも驚かされます」と衰え知らずな監督の創造力に感服。

 一方の阿部も、「山田監督らしい“家族”を丁寧に描いた作品ではあるものの、カメラの奥には近代化の象徴ともいえる東京スカイツリーがそびえ立ち、住居の在り方やフードデリバリーの日常化といった生活様式の変遷が随所に現れ、人々の営みの裏側にある時代の変化を、スクリーンに映る映像に奥行きを持たせることで表現されているように思います」とコメント。さらに言問橋の上で東京大空襲について語られるシーンでは、ダイナミックな長回しによる撮影も行われたことを明かし、見どころのある場面の1つとして挙げている。

 長年の映画監督生活の中で、時代の変遷と人々の暮らしを見つめてきた山田監督。本作は、そんな監督ならではの視点で、人々の内面の奥深い部分や、人間の美しさと醜さとおかしさが丁寧に紡がれた作品に仕上がっている。新たな名作の誕生を、ぜひスクリーンで見届けたい。

 映画『こんにちは、母さん』は公開中。

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