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「見る人が変われば、全て変わってしまう」綾野剛、“真実の多面性”に挑んだ最新作で魅せた新境地

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綾野剛
綾野剛 クランクイン! 写真:上野留加

 福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を原作に、三池崇史監督が映画化した『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』。2003年、小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)が児童・氷室拓翔(三浦綺羅)への体罰で保護者・氷室律子(柴咲コウ)から告発され、週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)による実名報道により「史上最悪の殺人教師」というレッテルを貼られた事件を描く。誹謗中傷や停職処分に追い込まれながらも、法廷で薮下が口にしたのは「すべて事実無根のでっちあげ」という完全否認だった。極めて複雑で多面的な人間の真実を描いた本作で、主演を務めた綾野剛は従来とは異なる表現論に挑んでいる。台本を読んだ瞬間の感想を「ただただワクワクした」と振り返る綾野。それは年齢もキャリアも違う、積み上げてきた作品も違う共演者たちとの「異種格闘技戦のような」体験への期待からだった。

【写真】メガネ&ヒゲがかっこよすぎる綾野剛、撮りおろしショット(10枚)

■「ノーガードの打ち合いのような真剣勝負」だった演技合戦


映画『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』場面写真(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
 「お1人お1人とノーガードの打ち合いのような真剣勝負でぶつかり合える。1本の作品で、これだけ違う感情を宿した方々と対峙する役を演じられる経験はとても貴重ですし、なかなか出会うチャンスはありませんから、そこにすごく“滾(たぎ)った”んです」実話をもとに描かれた原作を映像化という形で背負う責任感やプレッシャーについて問うと、綾野の答えは意外なほどに軽やかで、かつ誠実なものだった。「マンガ原作、小説原作、オリジナル、そして実話ベースの作品、今はあらゆるものが映像化できる環境になっていますが、どの作品にも真摯に向き合うという点では変わりません。僕にとって関わる作品は全て特別ですから」。

 実話だからといって特別に何かしら出力を上げなければいけないわけではなく、1つの作品として誠実に作品作りができる“一員”として、どうあるべきかを基本的に考えると語る。取材中に何度か繰り返されたのが、この“一員”という言葉だった。


 薮下誠一という人物についても、綾野は慎重に言葉を選ぶ。「できごとにはいろんな側面がありますが、今作は福田ますみさんのルポルタージュをもとに映像化させていただいていますので、福田ますみさんが集中し書かれた多面的な現実の中のある一面を描いているに過ぎません」。

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■役作りではなく「作品作り」という意識

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