孤独の中で生きてきた同性愛者の真実 ドキュメンタリー『94歳のゲイ』予告編公開
激動の時代を生き抜いてきた94歳の同性愛者に密着したドキュメンタリー映画『94歳のゲイ』(4月20日公開)より、予告編、ポスタービジュアル、場面写真が解禁された。
【写真】映画『94歳のゲイ』予告編
本作は、日本の同性愛史を紐解くドキュメンタリー。監督は吉川元基、語りは小松由佳。
かつて同性愛は“異常性欲”“変態性欲”だと公然と語られ、治療が可能な精神疾患とされてきた。1929年生まれの長谷忠は、誰かと交際したことも性交渉の経験もない。ゲイであることを誰にも打ち明けることなく、好きな男性ができても告白することもできない時を過ごしてきた。詩作を心の拠り所にしながら孤独の中で生きてきた長谷に訪れた大きな変化、90歳を超えて初めて経験する“出会い”と“別れ”。多くの悲しみを見つめてきたその心に去来する思いを映し出していく。
予告編は、「セックスは1回もやったことない」というインパクトのある言葉から始まるもの。詩人として成功しながらも「ものすごく生きづらかった」と語る過去と、現在の日常生活が淡々と映し出され、長谷の孤独な人生が浮き彫りになっていく。一方で、日本初の商業ゲイ雑誌「薔薇族」の元編集長である伊藤文学のインタビューなどで同性愛者たちが歩んできた歴史も語られ、作品の世界観を伝えていく。そして、ラストは長谷が日々書き綴っている短歌からの引用「笑っておくれ、人の弱みを」という印象的な言葉で締め括られ、余韻が残る内容に。
ポスタービジュアルは、若かりし頃のどこか緊張した面持ちの長谷と、1人静かに短歌を詠む現在の姿が対比された美しい仕上がりとなっている。
映画『94歳のゲイ』は、4月10日より東京・ポレポレ東中野ほか全国順次公開。