横浜流星、“盟友”藤井道人監督とだからこそ作り上げられた濃密な撮影空間 映画『正体』現場レポート
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『余命10年』や『青春18×2 君へと続く道』など話題作を次々と手がけている藤井道人監督が、横浜流星を主演に迎えて逃亡サスペンス・エンタテインメント『正体』を世に放つ。藤井監督と横浜は、お互いに仕事に恵まれない頃からの盟友で、切磋琢磨しながら高みを目指してきた間柄。横浜が5つの顔を持つ指名手配犯を演じる本作について、藤井監督は「横浜流星のすべてを見ることができる映画」と自信をのぞかせる。クランクイン!では、本作の撮影現場に潜入。2人が信頼を寄せ合いながら撮影に臨む姿と共に、横浜が山田孝之や森本慎太郎と対峙し、すばらしい化学反応を起こしていく様子を目撃した。
【写真】藤井道人監督と真剣な表情で打ち合わせる横浜流星
◆横浜流星が山田孝之&森本慎太郎と対峙!最重要シーンを目撃
染井為人による同名小説を映画化した本作。主人公となるのは、日本中を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けて脱走した鏑木(横浜)。鏑木は、日本各地で沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)と出会いながら、間一髪の逃走を繰り返していく。一方、鏑木を追う刑事の又貫(山田孝之)は沙耶香らを取り調べるが、それぞれが証言する鏑木はまったく別人のような姿。鏑木は凶悪犯なのか、無実の青年なのか、その“正体”が4人の視点によって明かされていく。原作を読んだ藤井監督が「この作品は流星で撮りたい」と希望し、長編劇場映画では『青の帰り道』『ヴィレッジ』に続き3回目のタッグが実現した。
鏑木による逃亡劇の景色や匂い、温度など本物を映し出すために、撮影は夏と冬に分けて敢行。夏編の撮影は、2023年の7月から8月。冬編は、2024年の1月から2月にかけて行われた。2024年2月、東映東京撮影所では、鏑木が面会室で又貫、そして和也と対面するシーンが撮影されていた。クライマックスとなる大事な場面だ。ガラス越しにじっくりと向き合った鏑木と又貫は、落ち着いた様子で話を進めていく。現場には並々ならぬ緊張感が漂い、2人だけにしか分からない特別な空気が流れている。横浜は窓の外を見つめるふわりとした笑顔から、鏑木の心情や辿ってきた道のりまでを見事に表現。山田は鋭い眼光やスーツをビシッと着こなした姿からも刑事としての存在感を放ちつつ、鏑木を見つめる瞳には涙と葛藤がにじんでいる。印象的だったのは、撮影の合間に横浜と山田は会話をせずに、壁に向かって集中力を高めていたこと。ストイックな姿勢でキャラクターを身体へ落とし込み、彼らのグンと高めた集中力がぶつかり合う瞬間は「すごいものを見た…」とゾクゾクするような高揚感を味わうものだった。
映画『正体』メイキング写真 (C)2024 映画「正体」製作委員会
また、大阪の日雇い労働者として共に工事現場で働き、鏑木と親しい友人となりながらも、指名手配犯ではないか?と疑っていく青年・和也を演じたのが森本だ。ヤンチャな雰囲気がありながらも、鏑木に対して人懐っこい笑顔をのぞかせる和也からは、“いいヤツ”オーラがビシビシと伝わってくる。藤井監督は、森本の間近で膝をつきながら丁寧に演出をつけていた。森本はそれに必死に食らいつき、より豊かな表情を見せていく。『だが、情熱はある』の森本の芝居を見て「テクニックもあって、すごく面白い俳優だなと思っていた」という藤井監督は、「今では、スタッフの中にも“和也推し”がたくさんいるんです。それくらい、森本くんが和也に人間らしさを注いでくれた。本当にいい芝居をしてくれる俳優さん」だと称えていた。
◆藤井監督が横浜流星に寄せる信頼感とは?
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