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映画『宝島』妻夫木聡&大友啓史監督が山形&新潟で思いを語り尽くす! 最新ポスター3種もお披露目

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<映画『宝島』山形キャラバン レポート>

 2日にムービーオンやまがたでの舞台あいさつに登壇した妻夫木、栄莉弥、大友啓史監督。大友監督は『レジェンド&バタフライ』の撮影などを通じて、そして妻夫木はNHK大河ドラマ『天地人』の撮影などを通じて、それぞれ山形にはゆかりがあるとのことで、山形で行われる舞台あいさつにも感慨深い様子。一方の栄莉弥は「僕自身、人生で初めての舞台あいさつなんですけど、皆さまの熱量を肌で感じられるようです。今日はすごく楽しみにしてきました」とあいさつすると、会場からは拍手が送られた。

 まず、山形の思い出について質問された妻夫木。『天地人』の撮影後にも、直江兼続公のお墓参りに何度も来ていたという妻夫木だったが、あるとき両親と一緒に兼続公の墓参りに行った際は大雪だったという。「それでも線香に火を灯したくて、ムキになって行ったんですけど、僕がついた途端、バーっと晴れて。パッと後ろを見たら僕の両親が泣いていたんです。『なんで泣いてるんだよ』と思ったんですが」と笑いつつも、「それで線香をあげて、失礼しますと言って去った瞬間、またゴーッと雪が降ってきた。なんか迎えられたような、そういう神秘的な体験をしました。米沢にはその後も何回も来させてもらってるんですが、今日は初めての山形市なのですごく嬉しいです」と笑顔。

 栄莉弥も「僕自身、今日が初めての山形なんですが、駅を降りてからここに来るまでの間の景色は僕が育った長野に似ているなと思いました。それと僕は以前、スピードスケートをしていたんですが、山形にいるライバルのタイムは常に意識してたので、そういう意味では山形ってちょっと馴染みがあるのかもしれないなと思っています」とあいさつした。

 そしてこの日も映画を鑑賞したばかりの観客からの感想や質問を読み上げ、それに対して3人が答える、というやり取りで進められた。

 会場からはまず「私の両親は他界していますが、母からは東京大空襲直前、東京から山形に疎開してきた話をよく聞きました。その時、母は『戦争だけは二度と起こしてはいけない』と私に伝えてきました。この映画を通して戦争がいかに悲惨なことか、改めて知らされました」という声が。それには大友監督も「毎回、僕らは皆さんの声に背中を押され、気づきを与えられ、映画が皆さんの声で育っていくように感じています。今回もいいご意見、ご感想、ありがとうございます」とかみ締めるように語る。

 さらに「役者さんたちの言葉や表情から、戦争が終わっても心の奥底にこびりついた苦しみを感じました」と語る別の観客からは、「どんな想いでこの作品を創り出そうと考えられましたか?」という質問も。「戦争というと、まさに戦争そのものを思いがちですが、今回の映画のように、戦争が終わった後もその影響というのは計り知れないものがあるんです」と語る大友監督は、「沖縄は1972年に本土に復帰するまでに、こういう歴史があった。その時代、日本はもう既に高度経済成長で、平穏な時代になっていた。僕らが豊かさを享受してる間に沖縄ではこういうことがあったということ。これは僕らが絶対に知らなきゃいけないこと。そういう信念を、みんなが意識してたと思います」と力強くコメント。

 今回、永山瑛太演じるコザの英雄オンの、失踪の鍵を握るウタという重要な役どころを演じるにあたり「大変だったことは?」という質問を受けた栄莉弥は「今回、『宝島』で初めて本格的に芝居をしました。現場は毎日、新しいことの連続で、いつもドキドキしていました」と語ると、「僕はカナダのトロントで生まれて、1歳になる前に長野県に引っ越して、そこで育ちました。ウタも、アメリカ人の父と日本人の母を持つという、ちょっと僕と似たようなシチュエーションで育ったわけです。その中で自分の居場所はどこなんだろうと不安になったり、怖くなったり、そして苛立ったりと、いろんな感情があったと思うんですけど、自分もそういうことを感じたこともあったので。そこはウタを形作るものの一つとして、常に持っているようにしました」と明かす。

 その後も「沖縄戦の悲惨さはどこかでわかっていたつもりでしたが、戦後もこれほど戦っていたとは知りませんでした。知ることで同じ過ちを繰り返さない、そこに繋がっていってほしい」「妻夫木さんをはじめ、役者の皆さんの感情移入の豊かさに感動し、熱意が伝わりました。私も武器を持たない平和の尊さを貫いていきたいと思います」といった熱い感想が続々と読み上げられる。

 さらにコザ暴動のシーンで「まるで当時にタイムスリップし、わたしもそこに生きているようなそんな感覚でした。妻夫木さん演じるグスクの『なんくるないで済むかぁ! なんくるならんどぉ!!』という魂の叫び、胸に響きました。大友監督が作り上げた圧巻の暴動シーンの中で、自然に出た叫びなのでしょうか?」という質問も。

 それには「もともと台本上にあるセリフではあるんですが、非常に難しいシーンでした」と返答した妻夫木。「あのシーンを表すにあたって、実際にコザ暴動に参加された方にも取材させていただいたりしたんですけど、怒りだけではないものが、確かにそこにあったと皆さんおっしゃるんです。僕たちが表現するにあたって、それはいったい何だったんだろうというのが課題としてありました」という。そこであらためて文献などで調べてみたというが、そこにはやはり「虐げられてきた時間やきっかけとなった事件がある中での怒りや憎しみ」が原因であったと書かれるものが多かったというが、それだけじゃないものがあるはずだ、という想いで現場に行くこととなった。

 「現場で監督は、そこにいるひとりひとりの思いがあって、こういうことなんだということをちゃんとエキストラの方々全員に演出して、命を吹き込んでいくんです」と振り返った妻夫木。「最終的にみんなの命や想いをぐじゃぐじゃにチャンプルーされて、最終的に一つの大河となって、ガーンと育っていくんです。あのシーンを見た時に『これは魂の叫びだ』『俺たちはここに生きてるんだ。俺たちの土地だ』『生きてたんだ』という“叫び”なんだと。本当にそれを感じたんです」。

 一方の栄莉弥はそのシーンにはいなかったというが、「グスクが言った『なんくるないで済むかぁ! なんくるならんどぉ!!』というところが、本当に溢れ出てくるような言葉で。理不尽に自分たちのものを取られて、押し込められて。それでも自分たちのものなんだと諦めない。それで終わらない、というのが、あのグスクの言葉だなと。みんなの怒りがブワーッと溢れ出てくるあの瞬間が、映画を観ていて本当に印象的でしたし、本当にすごい芝居をされてるなと、本当にカッコいいなと思いました」とコメント。

 さらに大友監督も「『なんくるないさ』というのはすごくたくましい言葉だと思うんです。いろんなことを経験してきて、強いんですよね。彼らは強いからこそ、『それくらいのこと大したことないよ』と言えちゃう優しさがあるんだけど、やはり人には守るべき一線があって、そこを越えた時に人は行動に移さなきゃいけない。きっとその瞬間が沖縄の方々にもあったんだろうと。いい加減にしろと、俺たちも何か言わなきゃいけないんじゃないか、みたいなね。そのラインがやっぱりあるんです。そのラインをめぐる暴動というか、先ほど妻夫木君が言った魂の叫びをここに集約させていった、というような撮影だった気がします」と語った。

 そして最後に栄莉弥は「自分も映画を観た時に、自分のこれからの人生に繋がっていくような映画だなと感じました。今生きている毎日が当たり前じゃないんだってこと。特に戦争からどんどん離れている僕のような世代の方々にも感じ取っていただきたいです。そして今日は皆さんの生の感想を聞けて、『宝島』に参加できて良かったなと心から思いました」とあいさつ。

 続いて、「僕は本当にこの映画を通して、改めて映画の力というものに驚かされています」と語る妻夫木も、“映画は観客に観てもらって完成する”という概念を本作が飛び越えている、といった意識があるそうで、「この映画に関しては、皆さんにもまだまだ育ててもらってる感覚があります。いろんな土地に行って、この『宝島』の輪がどんどん広がっていって。この映画が持つ意味ってなんだろうと考えた時に、多分映画という枠を超えてるんじゃないか」という。

 きっと、グスクが思い描いた未来が現代なのではないか。この映画を通じて、そうした命のバトンが繋がるような想いを抱いたという妻夫木は「過去は変えられないけど、未来は変えることができると思うんです。だからみんなの力で、ひとりひとりの思いで、素晴らしい未来を子供たちのためにつくっていけたらいいなと。そういう風に思わせるぐらいまで、皆さんにこの映画を育ててもらっています。なので皆さんも、もしどこか心に響くところがあったらひとりでも多くの輪を広げてください」と呼びかける。

 最後に大友監督が、この映画について、登場人物の感情をともにし、追体験してほしいという想いでつくった、ということをあらためて強調すると、「この映画を通してそれぞれの皆さんが、それぞれにとっての宝ってのは何なんだろうかと。この体験を通して、多くの人たちに、自分それぞれの宝を発見していただきたいと思っています。皆さん、山形の大友組の観客部と認定させていただいております。大友組の観客部として、ぜひ多くの人にこの体験を伝えてほしいと思っています」と呼びかけた。

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<映画『宝島』新潟キャラバン レポート>

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