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映画『宝島』妻夫木聡&大友啓史監督が山形&新潟で思いを語り尽くす! 最新ポスター3種もお披露目

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<映画『宝島』新潟キャラバン レポート>

 2日の山形に続き、妻夫木と大友監督は翌3日に今回の映画キャラバン15エリア目となる新潟での舞台あいさつを実施。

 大勢の観客が集まった会場内にやってきた大友監督が「新潟には以前『ミュージアム』(2016)という映画で、ふたりでお邪魔したこともありまして。今日皆さんにお披露目できることを本当に楽しみにしていました」とあいさつすると、妻夫木も「新潟の皆さん、お久しぶりです。監督が先ほどおっしゃった『ミュージアム』もそうですし、僕は大河ドラマ「天地人」でも本当にお世話になりました。他にもいろんな作品で新潟ではお世話になっておりまして。映画の撮影で2ヵ月ぐらいお邪魔した時は、信濃川をよく走っておりました。結構そこら辺に出没してたんですけど、あんまり気づかれなかったですね」と笑いながら続けた。

 そしてあらためて「天地人」が16年前だったと知らされた妻夫木は「自分がそれだけ歳を取ったというのを思い知らされましたね。本当にあっという間。新潟といえばやはりお米の印象がすごく強いんですが、今日も、お昼に『ぜひ塩むすびだけでも食べてください』と言っていただいて。やはりお米がおいしいですね。生きてるありがたみを感じさせてもらえます」としみじみと語る。

 そしてその後は映画を鑑賞したばかりの観客から募集した質問や感想を、時間の許す限り読み上げることとなった。

 「私は小学生の頃、広島に住んでいて、その頃、毎年のように平和学習をしていたことを思い出しました。戦争は終わっても教科書に載らないようなつらい出来事があったことが改めて分かりました。どうかこの先、世界が平和になることを心から願うばかりです」「私が知らないことも多く、数十年しかたっていないことにも驚きました。私はなんとなく生きてきたのですが、自分のすべきことはあるのかもしれない。ただ生きるのではなく、生き抜いていきたいと思えた映画でした」といった感想が読み上げられる中、「『宝島』の撮影を終えてから価値観や、日常に変化はありましたか?」という質問が。

 その質問に「この映画を通じて死生観が変わりました」と答えた妻夫木は、沖縄の千原地区に伝承されてきた千原エイサーについて「それは旧盆に先祖の方と一緒に踊れるように、ずっとその形を変えずに伝承されているもので。千原地区の方々にとっては、今も一緒に生きているんですよ」と前置きをしつつも、「僕は死ってどこか終わりを意味するものだと捉えていたんですが、想いというのはやっぱり残るんじゃないかなと。だったら死って終わりじゃないのかなと思うようになった。『永眠』という言葉がありますけど、ただ眠っているだけで、ただ違う場所にいる。僕らも亡くなったらその場所に行ってまた会うことができる。そういう風に思えたら、死を恐れなくなったというか、終わりっていうイメージがなくなっちゃったんです。そう考えると、やはり日々のことに感謝して、これからも生きていかなきゃいけないし、未来に生きる子どもたちにどういう未来を残せるのか。そういう考え方を持てるようになりました」と返答した。

 さらに1945年8月1日から翌8月2日の未明にかけて長岡空襲があったということを踏まえ、「ほんの少し前の日本なのに、自分が知らないことがたくさんありました。自分の人生を大切に生きます」という感想も。その他、「沖縄戦のことは高校の時の修学旅行に行く前に学んだり、夏の時期にある戦争特集で見聞きすることはありましたが、戦後の基地に関することはほとんど知らなかったなと、本作を観て反省しました」という感想や、「エンドロールには当時の写真があって。実際にあった出来事だということを自分の中に落とし込むまでに時間がかかりそうです。たくさんの怒り、想いを感じました」と反すうするコメントも。

 そこから「沖縄の方の反応はどうだったのか知りたいです」という質問を受けた大友監督は、この映画を沖縄以外の出身の人間が撮るということに並々ならぬ覚悟があったと語る。それゆえに、最初に沖縄プレミアで先行上映した時はすごく緊張して、終わった後に「ありがとうございました」と言ってもらえたことに安堵したことを明かす。

 さらに「アメリカ統治下の沖縄というのは本当に情報がないんです。戦果アギヤーという言葉もこの原作で知られるようになったけど、地元の人たちはやはり固く口を閉ざしてる部分がある。だからそういうことも含めて、声なき声というのを、自分たちが代弁者となって伝えるということは、すごく怖かった部分もある。そのために取材を重ね、終わりのないリサーチをしてきたんですが、沖縄の方の『ありがとうございました』という言葉は本当に僕も妻夫木くんも救われる思いというか、本当に感謝したくなりました」。

 「メッセージ性がとても強い映画だと思いましたが、どんな世代やどんな方に見ていただきたいですか?」という質問には、妻夫木が「世代問わず見ていただきたいというのが正直なところですが、特に若い人たちには観ていただきたい。僕自身、この映画を通して知ったことはいっぱいありましたし、それでもっと知りたいと思ったし、知らなきゃいけない、忘れちゃいけないこともたくさんあるなというのを痛感させられました。今年は戦後80年の年です。80年たって、だんだんと風化してしまっている現実もあると思います。この映画を通じて、こういう過去があったと知ってもらうことでも、希望ある未来に進むことができるんじゃないかなと思っています。たかが映画、されど映画だと僕は信じてるんです。だから全国を回っていて、今日は新潟にいます。ですから一緒にその想いを伝えていっていただけたら嬉しいです」と答えた。

 そして最後には「この映画を撮影する前に、この時代の沖縄をどれだけ知っていましたか?」という質問も。原作を通じて戦果アギヤーの存在を知ったという大友監督。実際にそうだった人に話を聞くと「俺たちはただの盗っ人だった」と語ったというが、その一方で「あなたたちのおかげで子どもたちもその孫も生きてこられた」という話も残っていたとのことで、「その話を聞いて絶対にやらなきゃと思ったし、また自分は沖縄について何も知らなかったんだと痛感した」という。

 「知らないことを知るということも、エンターテインメントになるんです。知らないことを知るということは、ひとりひとりに気づきを与えるし、それがひとりひとりの人生をもっと豊かにする可能性がある。そういう想いも込めて今回の作品に取り組みました」と力強く付け加えた。

 その話を聞いた妻夫木も「恥ずかしながら、僕自身も教科書に載っているようなことぐらいしか知らなかった」と返答。その上で沖縄にしっかりと向き合おうと誓った妻夫木は、その流れで沖縄・読谷村で、米軍の空襲を避けるために避難した洞窟であるチビチリガマ・シムクガマで起きた事実について知ることとなった。

 「本当に初めて知ることが多かった。(沖縄・宜野湾市の)佐喜眞美術館で「沖縄戦の図」の中のチビチリガマを描いた絵を見たんですが、戦争の現実がそのまま映ってるんです」とせつせつと語る妻夫木。その絵に託された想いに胸が詰まり、思わず涙ぐんでしまうひと幕も。

 その上で「知ることは当然大事だし、それを伝えていかなきゃいけないんだけど、どこかで感じるということを忘れていて。その人たちの痛みを知ること、それがとても大事なことなんだなと思いました」と語る妻夫木。「この映画は戦争映画ではないですが、とても大事なメッセージが入ってると思うんです。親友が連れていってくれた佐喜眞美術館では、感じることを忘れちゃだめだよと導いてもらえた。本当に感謝しました」とかみ締めるように語った。

 そんなイベントもいよいよ時間が迫り、最後のコメントを求められた妻夫木は「簡単に語れることじゃないんですが、だけどハッキリ言えるのは、今があることは当たり前じゃないんだということ。僕たちは先人たちの想いを胸に、これからも生きていかなきゃいけない。過去は変えられないけど、未来は変えられると思うんです。こういうひとりひとりの思いが、希望ある未来をつくっていくものだと信じています。そしてこの映画がそういう方々の想いをバックアップする、後押ししてくれる映画になってるんじゃないかなって、僕は信じているところがあります」。

 さらに大友監督が「映画っていろんな役目があると思うんです。エンターテインメントとして皆さんを楽しませるというのも、映画の立派な役割だし。普段僕らはエンターテインメントをつくっているんですけども、本当に僕たちが見過ごしてきた、聞き逃してきた声なき声を、しっかり多くの方に届けたいという想いで作りました。6年かかり、二度制作がとん挫しました。普通映画って一度とん挫したらもう立ち上がれないんです。でもこの映画は二度も立ち直ってきた。それはやっぱりあの登場人物たちの、諦めない生き方。ここでやめたら、最初からこんな映画を撮る覚悟なんかなかったんだと言われるような気がして。それでなんとか粘って、皆さんに届けられるようになりました。本当に今回の映画は、一人でも多くの人に届けたい映画です。ある種エンターテインメントの形を取りながら、なるべく多くの人に大切なメッセージを直接届けたいと思って作った映画です。皆さんは大友組の一員なので、感じることがあったらなんとかお力を貸してください」と会場に呼びかけた。

 そしてイベント終盤には、最新のポスタービジュアル3種を観客に初お披露目。3枚のビジュアルがスクリーンに映し出されると、その大迫力のビジュアルに会場内からは大きな拍手が巻き起こった。

 大スクリーンに映し出されたポスタービジュアルを見上げた妻夫木は、新たなメインビジュアルとなるコザ暴動をモチーフとしたポスターに目をやり、「やはりこれが一番“たぎる”感じがありますね」としみじみ。そしてあらためて「ポスターともども、これからもよろしくお願いします!」と決意をあらたにしている様子だった。

 8月に入り、さらに勢いを増す映画『宝島』全国キャラバン。妻夫木、大友監督の二人は、山形、新潟でさらに大きな渦となった滾る想いを乗せて、今週末は、8月9日に「京都」「兵庫」、8月10日に「熊本」「鹿児島」を訪れる予定だ。

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