坂口健太郎&渡辺謙、『盤上の向日葵』で釜山国際映画祭に登場 舞台挨拶で韓国語も披露

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映画『盤上の向日葵』が、第30回釜山国際映画祭「オープンシネマ部門」に正式出品され主演の坂口健太郎、共演の渡辺謙、そして監督を務めた熊澤尚人が、9月17日のレッドカーペットおよびオープニングセレモニーに登場。翌18日には同部門の出品作品として、ワールドプレミア上映が行われた。
【写真】坂口健太郎&渡辺謙、釜山国際映画祭での様子
本作は、2018年本屋大賞第2位となった柚月裕子の同名小説を実写化したヒューマンミステリー。
とある山中で身元不明の白骨死体が発見された。手掛かりは死体とともに発見された高価な将棋の駒。捜査の末、その駒の持ち主は、将棋界に彗星のごとく現れ時代の寵児となった天才棋士、上条桂介だと判明する。さらに捜査の過程で、桂介の過去を知る重要人物として、<賭け将棋>で圧倒的な実力を持ちながら裏社会に生きた男、東明重慶(とうみょう・しげよし)の存在が浮かび上がる――。
1996年に創設された韓国・釜山発のアジア最大規模の映画祭、釜山国際映画祭(BIFF)。記念すべき第30回を迎える今年は、9月17日から26日まで開催されている。アジアのみならず世界各国を代表する映画人が次々と登場し、国際的な注目を集める本映画祭は、昨年の来場者数が約14万人を記録するなど、その規模と存在感を示している。
開催初日の9月17日には、主演の坂口健太郎、共演の渡辺謙、監督の熊澤尚人が、メイン会場「映画の殿堂」で行われたレッドカーペット&オープニングイベントに登場。一行が到着するやいなや、世界中のメディアから大量のフラッシュが浴びせられ、駆けつけたファンからは「ケンちゃ〜ん!」「ケンさーん!」と声援が飛び交い、坂口健太郎と渡辺謙、2人の“ケン”に熱狂が注がれた。笑顔で手を振り、途切れることなく声援に応える姿は、数々のスターが集う中でもひときわ大きな注目を集め、メイン会場の大スクリーンにも長く映し出され、その存在感を示した。
昨年に続き、2年連続の釜山国際映画祭へ参加となった坂口は、「すごいエネルギーでした。映画祭というのもありますが、本当にお祭りのような感じで。(他の出品作品で参加している)日本の役者さんや、ディレクターチームにも会えましたが、アジアとして世界に胸を張っていける日本の作品が少しずつ増えているんだなと感じました」と振り返った。
一方、『怒り』(2016)以来の釜山国際映画祭の参加となった渡辺は、「(前回は日本人初の開幕式の司会を務めたが)お客さんもすごく熱狂していたし、歩きながら当時の緊張感が蘇ってきました。アジアのフィルムメーカーがお互いを支え合っているという気をすごく感じましたし、30年というのはやっぱりすごいなと」と、アジア最大級の映画祭の成長と節目の年を大いに称えた。
映画祭を代表する「オープンシネマ部門」に出品された本作は、ワールドプレミアにふさわしい釜山最大規模(約4500席)の野外スクリーンにて上映された。上映前の舞台挨拶に登壇した坂口は、満席の観客から大歓声を受け、「本当にたくさんの愛をくださってありがとうございます。嬉しいです!」と流暢な韓国語で応えた。さらに渡辺も韓国語で「釜山に戻ってきました!」と力強く手を掲げ、まるでライブ会場のような大歓声が会場を包んだ。
作品について熊澤監督は、「とにかく坂口健太郎さんと渡辺謙さんの色気がすごいので、そこにみなさん注目してください」と熱いコメントを送ると、会場からは「フゥー!」と期待の声援があふれた。
また、坂口は「とっても翻弄されながら色んなことに巻き込まれながら、けどそれでもしぶとく生きていく男です。すごく悲しい、切ない瞬間もあるのですが、それも謙さんと一緒に丁寧に少しずつ作った作品です」と自身の役と作品への思いを語った。渡辺はそれを受けて、「僕は最後の方にちょっとしか出てません(笑)」と冗談を交えて会場を爆笑に包み、「こんなにもいい加減で嫌な役は久しぶりなのでめちゃくちゃ楽しんでやりました!」と振り返った。
原作の魅力と映画化への思いについて熊澤監督は、「とにかくこの2人が将棋に情熱をかけている。なにかそういう情熱をかけるものというのが、生きていくうえで大切なんだなとすごく感じた小説だったので、そういう熱意、なにかに集中することの大切さもすごく伝わる映画にもなっていますので楽しんでいただけますと」と思いを述べた。
渡辺は「男が命がけで何かをする、そういう映画だと僕は思っています。なかなかそういうことができる世の中になってはいないですけど、ある意味本当に血で血を洗うような、そういうことを将棋の世界でやろうとしてる連中の話です。胸を熱くさせてくれる」と力強くコメント。
坂口は「将棋というひとつのアイテムの中で、そこで生まれる人間関係、男たちの生き様、その瞬間を生きた証みたいなものをこの映画の中で、この一瞬を覗き見していただけたら」と思いを語った。
最後に熊澤監督は「映画の後半にこの2人が熱いバトルをするところがあります。これは必見だと思っています。それから坂口さん演じる主人公が、謙さん演じる真剣師を憎しみながらも、すごくリスペクトしながら惹かれていくというお芝居が魅力的なので、ぜひ見てください」と観客に向けてメッセージ。
渡辺は英語で「エンジョイ・ザ・ムービー」と一言。坂口は興奮を隠せない様子で「初めてですもんね! みなさんがこのワールドプレミアで観ていただける第一目撃者ということで、ちょっとドキドキしてるのですが、なにかこの映画がみなさんの心に残ったら沢山宣伝をしていただいて、この映画がもっともっと大きく育つといいなと思います」と思いを述べ、大歓声と拍手喝采を浴びて舞台挨拶を終えた。
屋外大スクリーンで約4500人の観客とともにワールドプレミア上映を見届けた3人。エンドロールが終わると、割れんばかりの拍手とともにスタンディングオベーションが起こり、3人は両手を挙げて応えた。さらに大歓声と鳴り止まぬ拍手が続き、釜山の大観衆の心を見事に掴んだ本作のワールドプレミアは、終始大盛況のうちに幕を閉じた。
映画『盤上の向日葵』は、10月31日より全国公開。