トム・クルーズ、特殊メイクに6時間! 役作りの鍵は「リズム」<『DIGGER/ディガー』来日記者会見1万字レポート>
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――トムさん、このディガーというキャラクターへの理解を深めるのに特に役立ったことはありますか?
トム:こういうキャラクターの場合、まずは人間性を見つけることが大切です。僕は子供の頃からずっと、世界中を旅しながら仕事をしたいと思っていましたし、人という存在が大好きなんです。俳優として人間性を吸収し、反映させたい。僕はいつも人を見つめ、人生と向き合っています。そうしているうちに、自然と役作りが始まるんです。本能的にリズムを見つけ始める。コメディとドラマではリズムが違います。『レインマン』のリズムであれ、『卒業白書』であれ、あるいは(『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』の)レス・グロスマンのような役であれ、それぞれ異なる声があり、異なる動きがあり、リズムがある。そうやって役への入り方を見つけ、メイクを見て、声をちょっと変えてみたりして、キャラクターを切り替えていきます。
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それはすごく直感的なものなんです。子供の頃から人を真似たり、キャラクターや物語を作ったりしてきました。それが僕のやり方です。そしてアレハンドロには言葉で説明するより、実際にやって見せるんです。僕がアイデアを投げかけると、彼がそれを演出してくれますから。
その瞬間、その場にいることを大切にしています。だからこそ何かが起きてもすぐに反応できるんです。
イニャリトゥ監督:トムの変化の様子を見るのは興味深いものでしたよ。彼が演じているのはディガー、カーティス、そして最後の“ディガー2”と私たちが呼んでいる3つのキャラクターのようなもので、細やかな判断の積み重ねでこれらのキャラクターを構築していく。その様子を見ることは、私にとって大きな気づきとなりました。
私は俳優ではないので、そのプロセスはまるで魔法のように感じられました。そしてトムという人物に、ある種の「捉えどころのなさ」があることに強く惹きつけられました。まるでマイルス・デイヴィスのように、言葉では説明できない、始めた瞬間に突然生まれる魔法のようなものがあるんです。
それは合理的なプロセスではなく、本能的なで心の奥底から湧き上がる感情でした。説明しようとすれば、ひどいものになってしまう。トムはある意味、46年間ずっとこれを続けてきたんだと思います。きっとそれは歩くのと同じようなものなんです。みんな「歩いている」と考えて歩いたりしませんよね。もし誰かが「どうやって歩いているのか説明してくれ」と言ってきたら、考え始めた途端に転んでしまうでしょう。それと同じように、彼も演技を説明できない。それは自然なことです。これを身体や行為そのものに一体化させている人はごくわずかです。だからトム、言葉にしようとしないで。転んでしまうかもしれないからね!もし理解したら恐怖するかもしれません(笑)。
トム:それについては考えないで(笑)。リズムを理解してるような感じなんだけど、どう説明すればいいかわからないんだ。ただ「やる」って感じで。
イニャリトゥ監督:考えるな!(笑)
トム:OK、やめるよ(笑)

■作品をきっかけに対話が生まれてほしい
――さて、トムさんは今回が日本への来訪は26回目です。イニャリトゥ監督は3回目でしょうか。
イニャリトゥ監督:もっと来ていますよ。中山道を歩いたり、娘とこの地で最高のアーティストの一人である辻村史朗さんのお宅にお邪魔したこともあります。彼の家で過ごし、粘土の作り方を少し教えてもらいました。だから何度も訪れているんですよ。
――黒澤明賞も受賞されましたね。おめでとうございます。
イニャリトゥ監督:これ以上ないほど素晴らしい賞です。すごいことです。
――お二人とも、ここ日本における映画文化の理解と発展に大きく貢献されてきました。そこで、この作品について日本の観客にはどのように体験し、楽しんでほしいとお考えですか。
トム:日本のみなさんにはこの映画の美しさや職人技をきっと評価していただけると思いますし、作品について語り合ってくれることを願っています。それが映画の素晴らしいところです。どんな内容であれ、その対話が生まれることをみなさんにぜひ体験してほしいです。

イニャリトゥ監督:その通りだと思います。可能であれば事前にあまり情報を入れずに、観に来てくれると良いと思います。この映画は、観客が物語を語るひとりになるようにも作っています。この映画は「物語を語る」こと、そして「物語の中の物語」について描いた作品です。
トム:繰り返し観るたびに、まったく違う体験ができるんです。アレハンドロの表現は本当に豊かで、2回目に観ると細部をさらに掘り下げて見ることができる。サウンドミックスにも気づいていくでしょう。トーンも非常に繊細で、構成もあの構成でなければならなかった。2018年の時点ではまったく違う構成だったんです。そこから彼がどのように発展させ、なぜそこにたどり着いたのか。みなさんにこの映画を観てほしくて、本当にワクワクしています。
