トム・クルーズ、特殊メイクに6時間! 役作りの鍵は「リズム」<『DIGGER/ディガー』来日記者会見1万字レポート>
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――スピーチのシーンは、本作の見どころの一つだと思います。キャリアを振り返って、トムさんは映画の中で、これほど長いスピーチをされたことはありますか?
トム:これまでとは比べ物にならないくらい長く、とても身体的な演技でした。私があちこち動き回ると、監督が「ぐるっと回って、上がって、下がっていくんだ」って(笑)。本当に楽しかったです。唯一の問題は、もう一度やりたくなってしまったことですね。監督が僕のところに来てハグをし「OK」と言いました。僕は「リテイクはないの? もう一度やらせてもらえないの?」と聞くと、「いや、もう終わったよ。撮れたから」って(笑)。確かに史上最長でしたね。
――長いセリフを覚える秘訣は何ですか?
実はセリフを覚えることが一番簡単なんです。ただ暗記すればいい。それは仕事の一部にすぎません。
本当に重要なのは、その先のコミュニケーションです。相手と何かを見つけ、一緒に探求していく。監督が指揮者ならば、私は演奏しているようなものです。そうやって一緒に何かを生み出していくことが本当に楽しいんです。
メイクをした俳優の姿もそれはそれで素晴らしい。でも本当に大切なのはコミュニケーションなんです。その「コミュニケーション」こそ、私たちが一緒に探求していることなんです。
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セリフはひたすら繰り返して練習します。読みながらいろいろなリズムを試したり、セットを歩き回って舞台構成を確認したりもします。でもある程度のところまでいくともうセリフのことは考えません。
ジェット機を操縦するにせよ、バイクやレースカーを運転するにせよ、あるいは役を演じるにせよ、一生懸命やればもう何も考えなくてよくなるんです。カメラの位置も、自分がどこにいるべきかも分かっている。すべてを感知しつつ、その瞬間に没入していると、セリフのことなんて全く考えていない。キャラクターそのものになっているんです。
アレハンドロの演出は本当に素晴らしい。彼がフレームをどう捉え、俳優のためにどう演出を組み立てているのかを見ると、彼が俳優ではないことが信じられないほどです。撮影が進むにつれ、すべてのキャラクターを深く理解していく。それこそが私たちの仕事なんです。
それからスピーチのシーンについて、どうしても伝えておきたいことがあります。あのシーンの背景の一部を知ってほしいんです。
撮影時、私が18歳の頃から一緒に仕事をしてきた伝説的なスタントマンがいたんです。メイクしてあのシーンに参加してくれました。別の仕事があったのにそれを休んでまで現場に来てくれて、サポートしてくれました。彼らはアレハンドロを愛しているし、私のことも子どもの頃から愛してくれています。ただこのシーンの一員にるために来てくれたんです。
■映画を理解することは、イニャリトゥ監督の作品を理解すること
――なぜキャリアのこの段階で、イニャリトゥ監督と仕事をすることに決めたのですか? 映画監督としての彼に惹かれた点、そして実際に一緒に仕事をしてみて、いかがでしたか?
トム:『アモーレス・ペロス』を初めて観たとき、すぐに目が釘付けになりました。本当に驚かされた。あらゆるレベルでその映画を分析してみると、フレーミングや構図、なぜその演出を選んだのかが理解できました。彼はフレーム内の色彩を深く理解しており、それは非常に意図的なものでしたが、決して露骨ではありませんでした。
映画界に新しい力強い声が現れたと感じました。それ以来、彼の作品をずっと追い続けています。彼は非常にユニークな方法で映画と人間性を探求し続けているんです。
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イニャリトゥ監督:ありがとう、トム。
トム:どの映画も何度も観る必要があると思います。映画を理解したいなら、子どもの頃に私が黒澤明監督や他の映画監督を研究していたのと同じように、作品と手法を理解する必要がある。
彼の職人技は極めて独特で、非常に力強い。だから彼と毎日一緒に仕事をするのが本当に楽しかった。毎日彼の創作のプロセスを見て、それを一緒に発展させていくことが楽しみでした。
そして興味深いのは、彼の人間や文化に対する理解です。メキシコ出身で、異なる文化的背景を持ちながらも、人間に共通するものを深く理解している。彼が人生や芸術を私と分かち合ってくれたことにも感謝しています。私にとっての映画作りは、単に完成させて公開することではありません。求めているのは、この経験そのもので、それが映画を作るという特権なんです。彼の友人として、アーティストとして一緒に仕事ができたことで、彼への敬意はさらに深まりました。だからこそ私は世界中を旅して、そういう場所にいつづけたいんです。
