トム・クルーズ、特殊メイクに6時間! 役作りの鍵は「リズム」<『DIGGER/ディガー』来日記者会見1万字レポート>
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――この映画の制作に9年かかったとおっしゃっていましたね。では、このように時代が変化する中で、その変化に応じて映画のメッセージやトーンをどのように調整されたのでしょうか?
イニャリトゥ監督:この映画の脚本を書き始めた頃は、実際に起きていた出来事についていくつかメモを取っていました。そこから想像力を働かせ、現実の出来事をさらに過激なものに脚色し、風刺作品として描こうとしたんです。
ところが脚本を書き進めていくうちに、想像だったことが実際に起こり始めた。突然現実が追い越してしまったんです。架空のシナリオとして想像していたものが、恐ろしいほど短期間で現実のものとなってしまった。風刺作品を作るはずが、まるでドキュメンタリーを作っているような状態になっていました。
そこで現実から少し距離を置く方法を見つける必要がありました。この映画は時間と空間がとても重要だったんです。今の構成を採用したのは、現実から逃げるのではなく、想像を絶する速さで展開する現実から十分な空間と距離を置き、切り離す必要があったからです。
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今の世界は極めて不条理でシュールであり、権力者たちはまるで風刺的な道化師のようで、すべてがパフォーマンスのように見える。そんな現実をどう語ればいいのか。私自身も分からなくなっていました。
私たちがこの物語を語る方法を見つけようとしていた一方で、観客のみなさんには、私たちの物語を理解する方法を見つけてほしいです。なぜなら私たちは今、ある意味でみんな道に迷っていると思うからです。
芸術には現実を表現すること、そしてそこから距離を置くという役割があります。それは時に無用なことかもしれませんが、映画や絵画、音楽を通して現実を見つめ直し、自分自身や社会を理解する。そしてときには自分たち自身を笑う。そのためには芸術が必要不可欠です。
だからこの映画の構成は、単に独創的なものを作りたかったからではありません。私がこの物語を語るために見つけられた唯一の方法だったのです。ある意味、必要に迫られたものです。
観客には笑って楽しんでもらいたいですが、同時に心を動かされ、自分自身を映し出してもらいたいと思います。そして私たち全員が自分自身の姿を見つけられるように。今回のツアーを通して特に感じたのは、若い世代がこの映画に強く心を動かされていることです。この映画は彼らのための作品であり、まず若い世代がこの映画を見る必要があると考えて製作しました。答えがあるわけではありませんが、そこから対話を始めるきっかけになればと思っています。
■トムがあまりにハンサムすぎるので…
――トムさんへの質問です。この映画の特殊メイクを施されたご自身の姿を初めて見たとき、どのような気持ちでしたか?また、普段のハンサムな姿とは大きく異なる自分を見て、そのまま直視することができましたか?
トム: すごく楽しかったです。「これは絶対に面白くなる」と思って、待ちきれませんでした。初期の段階では、まだ見た目を決めるのに少し時間がかかりました。開発中はドラマチックになりすぎたり、コミカルになりすぎたりする。そこで「これはコミカルすぎる」「これはドラマチックすぎる」と確認し、ちょうどいいバランスを探していったんです。
俳優としては、リハーサルをしながら身体や声、空間の使い方を理解していきます。僕は子供の頃から鏡を見ながら物まねをして遊んでいたので、鏡を見て動きを試しながら、何がコメディになり、何がドラマになるのかを探っていました。

撮影が始まると、アレハンドロがどうレンズを使い、セットの中でどう動くのかを観察する。そうすると構図も分かるし、どこで表情を見せるべきかも分かってくる。そして本番になればそういうことは全部忘れるんです。もう身体が覚えている。
実際、初めて鏡でディガーの姿を見たときは本当に面白かった。メイク室でスタッフと一緒に映像を見たり、いろんなスーツを試したりしながら、少しずつキャラクターが生きてくるのが分かりました。
アレハンドロ覚えてる?最初に彼がデザインを見せてくれて、「これが映画だ。君にはこうなってほしい。これは神だ」って(笑)。彼には恐れなんてありませんね。
イニャリトゥ監督:彼があまりにもハンサムすぎたから、罰としてハンサムじゃなくしてやりたかったんですよ(笑)。
トム:(爆笑)。
イニャリトゥ監督:だって僕みたいにならなきゃいけないんだよ?歳を取って、お腹も出てさ(笑)。
トム:二人で自分たちの見た目を笑いながら作っていったんです。本当に最高でした。
映画『DIGGER/ディガー』は公開中。
