西山潤、堺雅人の“乃木力”に圧倒「お芝居がまったくブレない」『VIVANT』インタビュー
――第20話では、乃木が救出に現れたときの別班員たちの表情も印象的でした。
西山:僕もリアルタイムで見て、あのシーンは泣いちゃいました。ずっと無表情を貫いてきた別班員たちが、あの瞬間だけ「仲間が来た!」という顔になる。自分たちが撮影現場で作ったものを、完成した作品が超えてきたような感じがして、すごく感動しました。
乃木さんや別人格のF(堺/三役)のかっこよさ、“先輩感”も全部相まって、あんなに素敵なシーンになったんだなって。セリフをほとんどしゃべっていないのに、それでも伝えられる。役者冥利に尽きるなと思いました。
――乃木から「熊谷」と呼ばれた時の「はい」は、アドリブだったそうですね。
西山:そうなんです。台本ではかなり弱っている状態だったんですけど、僕はあくまで別班員として返したいと思って。
熊谷は30歳という若い別班員で、僕自身も実年齢が近い。だから、“若いけれども別班員”“別班員だけれども若い”という、その両方を等身大で考えました。別班員としての強さはある。でも同時に、1人の若い人間でもある。そのバランスを考えたときに、あの「はい」という言葉になりました。
それに、乃木さんが姿を現す前から、別班員なら何かを察知しているはずなんです。いつもの足音と人数が違う。それに火薬の匂いもするはず。「何かが起きている」「乃木さんである確率は何パーセントだろう」「別の誰かかもしれない」と考えながら、最後に声を聞いて確信する。
実際の撮影は逆光で真っ暗だったので、本当に何も見えなかったんです(笑)。でも「熊谷」と呼ばれて、「これは絶対、乃木さんだ」と。その確信に至るまでの段階を、1つずつ意識して演じていました。
乃木さんはずば抜けた能力を持っていますが、他の別班員たちも、表に出ていないだけで同じようなスキルを持っている。だから演じる側も「自分たちも高い能力を持っている」という自覚が必要なんです。1人1人少しずつ色は違うけれど、根っこのところは同じ別班員。そういう共通項はあったと思います。
――第21話では、ジェット機で離陸する直前、別班の儀礼曲が流れ、別班員たちが敬礼する姿もありました。あのシーンには特別な思いがあったそうですね。
西山:あの曲って、別班員にとっては、つらいことがあってもずっと聞いてきたものだと思うんです。だから僕は、あの時「厳しい実家に帰ってきた」ような感覚になりました。
Fの「これで殉職した先輩方が俺らを守ってくれる。出発だ!」という言葉があって、曲が流れて、自然とみんな敬礼する。その瞬間に「帰ってきた、帰れた」と思えたんです。
あのシーンまでは感情を出さずに堪えてきて、最後に最大限こぼれる。僕の中では、そこに至るまでのストロークを作って演じていました。
