『運び屋』イーストウッド実娘が父との関係を激白「父とはうまくいってなかった」

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クリント・イーストウッドが監督・主演を務めた映画『運び屋』で、イーストウッド演じる運び屋アールの娘役を演じた実娘アリソン・イーストウッドの特別動画インタビューが到着した。「父とはうまくいってなかった」と語り、そんな実生活での経験を役作りに生かしたことを明かしている。
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父クリント・イーストウッドが演じるのは、仕事一筋で家庭をないがしろにした揚げ句、事業の失敗で家財の一切を失ってしまった孤独な老人アール・ストーン。アリソンはアールの娘アイリス役を演じており、父との共演は34年ぶりとなる。
アリソンは自身の役柄について「複雑なキャラクターだわ。父親が、家族より仕事を優先させることに腹を立てているの」とコメント。イーストウッド演じる父アールについては「園芸が生きがいで、結婚生活や父親であるための大切な時間を、犠牲にしている」と説明する。
そんな複雑な役を演じるため、アリソンは過去の体験を生かした。「(この役を演じることは)とても難しかったわ。最近の私と父の関係は素晴らしいから。過去に戻って掘り起こす必要があったの。父とうまくいっていなかった時を、俳優として活用したわ」と、父イーストウッドとの過去を掘り下げたことを告白。映画界のレジェンドとして尊敬される彼は、映画を作ることに夢中になって家族より仕事を優先した時期があり、運び屋の主人公とも重なるという。アリソンはこの時の経験を役作りに生かしたのだ。
父イーストウッドの演出スタイルは独特と話すアリソン。「彼はまず、リハーサルをしない。考えすぎるのも好きじゃない。私の考えを彼に告げると、彼は『考えない、考えない』と言う。俳優にはその場にいて、その瞬間を生きてほしいと思っているの。セットに入り、セリフを覚え、流れに身を任す。だから、夕食の時に少し話しただけだと思う。彼はその日にやるのが好きなの。すべてが揃っているところに、全員で入り、それぞれがその瞬間に生きる方法を見つけるの」と、俳優たちの自然な演技を引き出すイーストウッドの現場を振り返っている。
父が演じるアールについては「豊かで複雑なキャラクター」とも語る。「いつも人気者で、自分と仕事と友達が中心。彼は退役軍人で、人脈も広い。町中の人を知っている。小さな町の名士ってところね。でも明らかに、いろいろな失敗をしてきた。最大の失敗が自分の家族と結婚ね」。そんなアールが大きく変化するところが素晴らしいという。「家族のもとに来るの。大事な時に姿を現すようになる。彼を必要としている時に、家族のそばにいるようになる。でもその理由を、女性たちのほとんどが最後まで気づかない。でもそれでいいのかも。批判せずにすむし、“知らぬが仏”って言うでしょ。自分のことだけ気にしていればいい。大金の出どころは気になるけれどね」とアリソン。
最後にアリソンは「父の演技を見られてよかったわ。とても繊細で、映画を通してみていくと、頑固さが和らぎ、謙虚さも穏やかなところも見えてくる。でも映画の冒頭ではそういう人間じゃないの」と語り、父イーストウッドが繊細に演じ分けた主人公の変化こそ本作の見どころだとアピールした。
映画『運び屋』は公開中。