『さよなら、人類』ロイ・アンダーソン監督最新作『ホモ・サピエンスの涙』公開決定

映画『さよなら、人類』(2014)で第71回ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞(グランプリ)に輝いたスウェーデンの巨匠ロイ・アンダーソン監督の最新作『OM DET OANDLIGA(原題)』(英題『ABOUT ENDLESSNESS』)が、邦題を『ホモ・サピエンスの涙』として、11月20日より全国順次公開されることが決まった。
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前作『さよなら、人類』以来5年ぶりとなる本作で描かれるのは、時代も性別も年齢も異なる人々が織りなす悲喜劇。
この世に絶望し、信じるものを失った牧師。戦禍に見舞われた街を上空から眺めるカップル…悲しみは永遠のように感じられるが、長くは続かない。これから愛に出会う青年。陽気な音楽に合わせて踊るティーンエイジャー…幸せはほんの一瞬でも、永遠に心に残り続ける―。人類には愛がある、希望がある。だから、悲劇に負けずに生きていける。悲しみと喜びを繰り返してきた不器用で愛おしい人類の姿を、万華鏡のように映し出す。
アンダーソン監督は、コンピューターグラフィックス(CG)全盛のこの時代にCGはほぼ使わず、野外撮影ではなく巨大なスタジオにセットを組み、模型や手描きのマットペイント(背景画)を多用するという、アナログにこだわった手法で傑作を生みだし続けてきた。その動く絵画のような唯一無二の映像美と、独特のユーモアが散りばめられた哲学的な世界観が絶賛されている。
そんな映像の魔術師が、本作でも構図・色彩・美術と細部まで徹底的にこだわり、全33シーンすべてをワンシーンワンカットで撮影。圧倒の映像美にのせて『千夜一夜物語』の語り手シェヘラザードをほうふつとさせるナレーションが物語へと誘う。
『愛おしき隣人』(2007)、『さよなら、人類』(2014)とカンヌやヴェネチアなど各国の映画祭で受賞を重ねてきたアンダーソン監督だが、本作でもヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞。映画ファンのみならず、アリ・アスター(『ミッドサマー』)、アレハンドロ・G・イニャリトゥ(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)、ダーレン・アロノフスキー(『ブラック・スワン』)など名だたる映画監督たちをも魅了してきたアンダーソン監督が新たに生み出した傑作に注目だ。
映画『ホモ・サピエンスの涙』は、11月20日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。