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美しくも残酷な問題作『異端の鳥』<製作期間執念の11年>を物語る6つの数字

映画

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ステラン・スカルスガルド

■撮影は<2年>に及んだ

 撮影はほぼ2年間を要し、102日間にわたり行われた。全編モノクローム35mmフィルム、シネスコにより撮影されているが、監督はこのフォーマットを採用した理由として「画面上に映し出される美しさと残酷さの両方を捉えるためだ。画の本質的な真実性と緊迫感をしっかりと捉えたいと思った」と答える。

 さまざまな表情を持つ東欧の広大な自然や変わりゆく季節の中、戦争という時代のうねりの中で人間たちが繰り広げる目を背けたくなるような数々の“ちっぽけ”な出来事という対比を存分に感じられるはずだ。

■クランクイン時、演技未経験の主演は<9歳>

 クランクイン当時、主人公の“少年”を演じたペトル・コトラールはわずか9歳で、監督がチェコのとある町で偶然出会った男の子だった。全くの演技未経験者であるコトラールを起用したことについて、監督は、「彼こそが“少年”だ」という直感であったと振り返る。

 事前のカメラテキストは、監督いわく「彼がカメラの前に行くことができるかすら分からなかった。非常に外向的な性格で、演じたいという意志があったにも関わらず、彼は凍りついてしまった」という。そこで、監督は、コトラールが大事にしている愛犬への感情を演技への助けにしたほか、撮影中はチェコの有名女優も含め、絶えずコトラールの世話をする付き添い人を用意し、幼い子どもにとって問題のあるいくつかのシーンでは彼を現場にすらいさせないよう配慮し、時には大人のボディダブルも採用するなど最大限のケアを行ったという。

 本作は完全に順撮りされており、劇中心優しく無垢(むく)な“少年”が地獄の旅路を経てその表情に強さや精悍(せいかん)さが加わっていく様は、クランクアップ時には11歳になっていたコトラール自身の成長の記録ともいえるだろう。

■国際的スター出演のきっかけは<26年前>の出会い

 監督が脚本を執筆している間、少年の命の行方を握ることになるドイツ兵ハンスの姿が浮かび、この役に理想的な人物はステラン・スカルスガルドであると感じたという。監督は、原作が国際的評価も高い作品であることに自信を持って俳優たちに問い合わせを進めたというが、スカルスガルドにはエージェントを介さず自身で連絡したそうだ。

 実は、監督とスカルスガルドは、26年前にプラハで偶然出会った仲で、それ以来会う機会のなかった間にスカルスガルドはすっかり国際的スターに。監督が電話するとスカルスガルドは、「my god、ヴァーツラフ!」とすぐに反応し、脚本を読むことに同意。スカルスガルドが出演に最初に興味を持ったことが、他の俳優との交渉を進める上で助けになったという。

 映画『異端の鳥』は10月9日より全国公開。

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映画『異端の鳥』予告編

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