東京国際映画祭で二度グランプリを誇るイスラエル監督最新作『旅立つ息子へ』公開

東京国際映画祭で二度のグランプリを誇るニル・ベルグマン監督最新作で、第73回カンヌ国際映画祭に正式出品された『Here We Are(英題)』が、邦題を『旅立つ息子へ』として3月26日より公開されることが決定。場面写真が解禁された。
【写真】父と息子の実話に基づく絆の物語『旅立つ息子へ』フォトギャラリー
母国イスラエルを舞台に、繊細に揺れ動く家族の姿を描き続けてきたベルグマン監督が新たに描くのは、自閉症スペクトラムを抱える息子を全力で守る父と、父の愛を受けとめて心優しい青年に成長した20歳の息子の絆の物語。脚本を担当したダナ・イディシスの父親と、自閉症スペクトラムの弟の特別な関係をモデルにしており、その弟のお気に入りでもある、親子の絆を描いたチャールズ・チャップリンの映画『キッド』(1921)へのオマージュも劇中では描かれている。第73回カンヌ国際映画祭ほか世界中の映画祭に出品され、多くの観客を爽やかな感動で包んだ。
世界でいちばん愛する息子のために、キャリアも妻も捨てて、子育てに人生を捧げてきた元グラフィックデザイナーの父。金はなくても愛がある! と田舎に引っ込み、2人だけの世界を楽しんできた。ところがある日、彼らに突然の試練が訪れる…。
本作のメガホンを撮ったベルグマン監督は、父親を失った家族の再生を描いた『ブロークン・ウィング』(2002)で長編デビューし、第15回東京国際映画祭でグランプリを受賞。続く2作目の『僕の心の奥の文法』(2010)では、大人になることを拒んだ少年の姿を通して、戦争が迫るイスラエル国家や大人への抵抗をユーモアを交えて描き、同映画祭で再びグランプリを受賞。二度のグランプリ受賞という、東京国際映画祭史上初にして唯一となる快挙を果たした。最新作となる本作も、母国で最も有名な映画評論家から是枝裕和監督の作品と並べられたほか、イスラエル・アカデミー賞にて監督賞はじめ4部門を受賞するなど高い評価を得ている。
息子ウリ役を演じた気鋭の新人ノアム・インベルは、オーディションで同役を獲得。そのリアリティあふれる演技は、映画『ギルバート・グレイプ』(1993)で知的障害のある青年をリアルに演じ、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたレオナルド・ディカプリオを彷彿させると評判に。実際に、彼の父親は自閉症スペクトラム施設の職員であり、小さい頃から施設の友達と一緒に育った経験が、キャラクターへの深い理解につながっているという。父親アハロン役のシャイ・アヴィヴィは、『喪が明ける日に』(2016)などイスラエルで活躍するベテラン俳優で、劇中では息子へのあふれる愛を全身で表現している。
解禁された場面写真は、息子を愛おしそうに見つめる父親アハロンの姿をはじめ、2人が自転車から降りて仲良く足並みを揃えて歩いているシーン、旅先の光景にきらきらと目を輝かせているウリ、親子がシャトルバスで移動している場面、そして、切なくも愛おしげな表情を浮かべるアハロンの姿を切り取った5点となっている。
映画『旅立つ息子へ』は3月26日より全国順次公開。