
船越英二
船越英二 出演映画作品
-
夜の蝶〈1957年〉
制作年:2000年12月2日(土)公開
川口松太郎の原作を京マチ子と山本富士子という大映二大女優の顔合わせで映画化した風俗映画。東京・銀座の夜の世界を舞台に、二人のバーのマダムが、色と欲のために女の闘いを繰り広げる。吉村公三郎らしいハッタリをきかせた演出が見もの。
-
黒い十人の女
制作年:1997年11月08日(土)公開
奔放なプレイボーイに振り回される10人の女たちの復讐をスタイリッシュな映像で描いた、'61年製作の愛憎劇。若き日の岸恵子、中村玉緒らの、研ぎ澄まされた美貌がまぶしい!
-
陸軍中野学校 開戦前夜
制作年:
シリーズ最終作は、第二次世界大戦の舞台に突入。戦争決定がなされた御前会議の内容が敵国のスパイ連合・P機関にもれる。中野学校はこのP機関を突きとめるために、御前会議出席メンバーを調査する。一匹狼だった椎名がリーダー的役割で集団行動をとるようになる。
-
女賭博師十番勝負
制作年:
兼松組の女ツボ振り師・大滝銀子は、不敗を誇る留造を破り名実ともに日本一の賭博師となるが、兼松の縄張りを狙う新興ヤクザの中井組は組長を殺し、銀子にも刺客を放つ。当時大映の若手スターとして売り出し中だった峰岸隆之介(現・徹)が共演。
-
母山彦
制作年:
三益愛子お得意の“母もの“映画。3人の子供を女手一つで育てた母・おはま。だが末娘の家出を期に不幸が家族を見舞う。小学校の教師となった長女は遠足で生徒を溺死させ、ボクサーとして将来を嘱望された長男は大事な試合に負けたあげく酒に酔って警察に連行され……。母の苦労を描くこのシリーズは人気を博した。
-
定年退職
制作年:
源氏鶏太お得意のサラリーマン小説『男と女の世の中』を映画化。定年退職を1ヵ月半後に控えたサラリーマン、矢沢章太郎を主人公に、定年までの間に彼の周囲で起こる騒動を描いている。失恋した章太郎の娘、妻に先立たれた彼に再婚を迫るバーのマダムなど、絡み合ういくつかの恋愛模様を島耕二がうまくさばいている。
-
雑婚時代
制作年:
芸能界の内幕を背景に描く風俗ドラマ。芸域を広くするためには体当たりで何でもやるのだと、大女優になりたい一心で家を飛び出した友野マリ子は、プロデューサーやスポンサーとことごとく関係を結んでは大役を勝ち取って名声を得ていく。そんな彼女を一人の男がじっと見つめていた。
-
三面鏡の恐怖
制作年:
水力発電所の建設に邁進する十吉は、恋人の嘉代子を捨てて社長令嬢と結婚したが、3年後に彼女は病没。そんなある日、十吉のもとに嘉代子とそっくりの妹が現れる。やがて、二人は愛し合うようになるが……。三面鏡のように様々な角度から映し出される人間の感情を、サスペンス・タッチで描いたラブ・ストーリー。
-
毒薬の匂う女
制作年:
裏で悪どい恐喝を続ける経済研究所の所長と、そのための手段として働かされる悲劇の養女との愛憎を描くサスペンス映画。一流宝石店のオーナーである美也子は、店の客から情報をつかんでは父親の信也に密告していたが、次第に信也を憎むようになっていく。
-
千羽鶴
制作年:
人間の本能を赤裸々な描写で追求する増村保造が、日本的風土のなかで女性の美を描く川端文学を映画化。お茶の師匠と、その父親と関係のあった二人の女を中心に展開される色模様が描かれる。同じ新藤脚本にもかかわらず、吉村公三郎版とはまったく肌合いの異なったドライな仕上がりになっている。
-
新・与太郎戦記
制作年:
与太郎がついに一等兵に昇格! だが相変わらずドジの連続で、しまいには食べものにあたって入院。ところがそこの看護婦が昔、想いを寄せていた女で……。今回の演出は、大映プログラム・ピクチャー路線の中でコンスタントに作品を発表し続けた田中重雄。
-
ど根性物語 銭の踊り
制作年:
腕っぷしの強い江戸っ子・八百はある日、殺し屋グループからスカウトされる。社会の悪を消すというグループの指令に賛同して仲間になった八百だが、やがてあまりに冷徹な仲間の仕事についてゆけず、ついには自らグループと対決することになる……。絶頂期の市川崑が描くアクション映画。
-
四十八歳の抵抗
制作年:
石川達三のベストセラー小説の映画化。仕事一筋の生活に倦怠を感じる中年サラリーマンのいっときの冒険を描き、その題名は流行語となった。翻案にあたった新藤=吉村の名コンビは、原作の社会批判を十分に生かし、ひねりの効いた切れ味の鋭い作品に仕上げた。
-
安宅家の人々
制作年:
安宅家の頭主、宗一は精神薄弱者だったが美しい心の持ち主だった。元使用人の娘だった妻、國子は彼を心から愛し、広大な庭に養豚場を経営して家を守っている。そこに宗一の異母弟で放蕩者の譲二が妻を伴って転がり込んでくるが……。善意に満ちた夫婦の姿を捉えたヒューマニズムあふれる作品。
-
妻の日の愛のかたみに
制作年:
リューマチを患い闘病生活を強いられた池上三重子の同名手記を木下惠介が脚色した純愛映画。見合い結婚で北原家に嫁いだ千枝子は、夫の正之と仲むつまじく暮らしていたが、突然病魔が彼女を襲った。正之は入院する千枝子に、1日に何通もの手紙を書き、健康な日の訪れを信じて待つのだが……。
-
雑兵物語
制作年:
戦国時代、荒れはてた寒村に足軽の徴発がきた。女までも男装させられて頭数をそろえたあと、一行は戦に参加するが、両軍の勝敗をバクチのタネにしたり、敵方の旗を盗んできて味方の難を避けたりと、ハチャメチャなノリで戦乱を駆け抜けていく。池広一夫監督のスラップスティック描写が楽しい時代劇。
-
私は二歳
制作年:
松田道雄の育児評論の映画化。2歳の赤ちゃんが主役という、映画史的にも珍しい作品ができあがった。その赤ちゃんは3200人のなかから選ばれた鈴木博雄ちゃん。団地に住む若い夫婦に待望の男の子が生まれた。両親はもとよりお婆さんまでも大騒ぎ、といった日常を淡々と綴った作品だが、なによりユニークなのは赤ちゃんの独白の形でナレーションが入ること。赤ん坊は果して両親の愛情をどう見ているのか、という視点が面白い。題材が意表を突いた上に、一種の社会批評の観点も兼ね備えていて、キネマ旬報ベストワンに輝いた。ちなみに市川監督は同4位に「破戒」も入選するなど大活躍の1962年だった。
-
痴人の愛〈1960年〉
制作年:
谷崎潤一郎の同名原作を木村恵吾監督が再映画化。堅物の会社員が、偶然知り会った少女ナオミを思いどおりの女に育て上げるが、結局は逆に支配されるまでの官能の物語を描く。京マチ子が主演した1949年の第1回映画化では、家を出たナオミが改心して譲二のもとへ帰るという結末であったが、本作はほぼ原作通りの物語展開となっている。
-
金色夜叉〈1954年〉
制作年:
“今月今夜のこの月を……“で有名な尾崎紅葉原作の映画化。明治時代、互いに将来を誓い合った恋人同士のお宮と貫一。しかしお宮に富豪の富山が近づき、欲に目がくらんだお宮の両親は嫌がるお宮を一緒に熱海へやってしまう。貫一は怒り守銭奴への道を歩むが……。
-
永すぎた春
制作年:
大学生の郁雄と百子は、家庭の格式の違いを乗り越え婚約する。清い関係であった二人は、結婚までは満足だったものの、何かもの足りなかった。そんな時、郁雄はデザイナーの本城のぶ子と出会い、今まで抑圧されていた自分の性に目覚めるが……。若き男女のモラルと恋愛を描いた三島由紀夫の同名小説の映画化。
-
婚期
制作年:
実業家・唐沢卓夫は家庭をかえりみず、妾を囲う身。妻の静は卓夫の二人の妹・波子と鳩子のイビリに耐えつつ、逆襲を狙っている。そんなある日、静のもとに差出人不明の手紙が舞い込んで……。女流脚本家・水木洋子のオリジナル・シナリオを吉村公三郎が監督したホーム・コメディ。
-
卍〈まんじ〉〈1964年〉
制作年:
弁護士を夫に持つ人妻が、偶然知り合った独身の若い女の魅力の虜となり、同性愛の関係に陥る。そこに若い女の恋人である青年が絡んできて、夫を交えて奇妙な人間関係と倒錯したセックスの世界が、人妻の告白という形で描き出されている。女同士の同性愛という、その頃の日本映画ではタブー視された題材であるが、増村監督は、“恥も外聞もなく欲望を表現する狂人”たちが繰り広げる饗宴を肯定的に力強く描き、増村流美学をみなぎらせている。なお、この小説の映画化は市川崑監督が長年温めていた企画であるが、市川監督が「東京オリンピック」にかかったために、増村監督が演出を務めたという経緯がある。
-
からっ風野郎
制作年:
主演に三島由紀夫を起用して話題を呼んだ増村保造監督作品。非情なヤクザの世界に身を投じた一人の若者をダイナミックに描く。銃弾を受けてエスカレーターに倒れるラストシーンの三島の熱演が見もの。なお彼は、劇中で自ら作詞した主題歌を歌っている。
-
最高殊勲夫人
制作年:
三原家の兄弟と野々村家の姉妹はそれぞれ結婚し、三原商事の営業部長と秘書のニ組のカップルとしてうまくいっていた。両家は、残る三男の三郎と三女の杏子を結ばせようと画策するが、若い二人はこれに反発。だがいつの間にかお互いに惹かれ合って……。女性映画で名高い増村保造監督の青春ドラマの佳作。若尾と川口のみずみずしい存在感が魅力。
-
足にさわった女〈1960年〉
制作年:
和田夏十と市川崑のコンビが脚本を書き、増村保造が監督した沢田撫松の原作の3度目の映画化。走行中の特急列車に乗り合わせた美人で足の美しい女スリ・塩沢さやと、彼女の逮捕をもくろむスリ専門の刑事・北八平太の追い駈けっこを、軽妙なタッチで描く。大女優・京マチ子のコメディエンヌぶりも見もの。
-
銭形平次捕物控 美人鮫
制作年:
武蔵屋の娘が殺された事件を追っていた平次は、妙照寺の尼僧が怪しいとにらみ調べるが、彼女も殺され、平次たちは寺社奉行に捕まってしまう。しかし麻薬撲滅に動いていた南町奉行のお陰で無事脱出し、長崎へ。そこで平次は、殺された娘が麻薬と交換に売られた娘だと知る……。
-
夜の素顔
制作年:
新藤兼人脚本・吉村公三郎監督の名コンビによる女性ドラマ。舞踊界の第一人者になろうという野望のために、自らの持てるものをことごとく提供して名声と栄光をかち得ようとする一人の女を描く。京マチ子と若尾文子らが演技バトルを展開。
-
ガメラ対大悪獣ギロン
制作年:
冒険好きな二人の少年が、宇宙船に閉じ込められ第十惑星に連れ去られ、宇宙人に食べられそうになる。そこにガメラが現れて二人を救う。宇宙人はギロンをけしかけるが、ガメラの敵ではなかった。第3作に登場したギャオスが再登場するが、ギロンにあっさりやられてしまう。
-
怪談 蚊喰鳥
制作年:
宇野信夫の原作を、森一生監督が正攻法で映画化した文芸怪談映画。常盤津の師匠とその情婦、そして按摩が、50両の金をめぐってみにくい争いを繰り広げ次々と自滅していく。船越英二が、得体の知れない双子の按摩を不気味に演じた。
-
流転の王妃
制作年:
原作はもと満州国皇帝・溥儀の弟の妻、愛親覚羅浩の自叙伝である。彼女は、1957年冬に愛娘を天城山心中事件で失い、その悲しみを込めて自らの数奇な半生を綴ったのだった。関東軍の策略で、溥傑と無理矢理結婚させられた主人公は、ソ連の参戦や日本の敗戦によって流転の人生を余儀なくされる。監督は女優の田中絹代。
-
あなたと私の合言葉 さようなら、今日は
制作年:
市川崑が、久里子亭のペンネームで『平凡』に連載していた小編を、自ら映画化した恋愛喜劇。OLの和子は大阪に半次郎という恋人がいたが、父や妹の面倒を見ているため結婚に踏み切れず、大阪に住む友人・梅子に半次郎に会って結婚を断ってくれと頼む。ところが、何とその梅子が彼に惚れてしまい……。
-
悲しみは女だけに
制作年:
尾道で飲食店を開いている政夫のもとに、姉の秀代がアメリカから帰ってきた。実は彼女は30年前に結納金目当てで、とある家に身売りをされていた。やがて、秀代の財産を狙った一族のいさかいが始まり……。劇団民芸が上演した新藤兼人の戯曲『女の声』を、新藤自身が舞台的手法も取り入れて脚色・監督している。
-
ラーメン大使
制作年:
28年前の恩人を捜すために、はるばる中国から日本にやって来た王さんが巻き起こす珍騒動を描く。原作は『てなもんや三度笠』『どてらい男』などで知られる花登筺。とぼけた日本語を喋る中国人役は、まさにフランキー堺にピッタリ。彼の独壇場だ。
-
偽大学生
制作年:
当時、文壇の若きリーダーだった大江健三郎の『偽証の時』を、脚本・白坂依志夫と監督・増村保造という大映の気鋭コンビが映画化した作品。学生運動で揺れるT大学歴史研究会に一人の新入生・大津彦一が加わる。リーダー・空谷の保釈運動にも彦一は積極的に参加し、メンバーの信頼を得るようになる。だが警官との乱闘で留置場に入った彼がニセ大学生であることをすでに警察側は見破っていた。やがて研究会の中にスパイ疑惑が発生し、一人だけ早く釈放された彦一がまず疑われる。猿ぐつわで椅子に縛りつけられた彼は発狂してしまう。同年の「日本の夜と霧」(大島渚監督)にも共通する、学生運動を扱った問題作。
-
宝石泥棒
制作年:
箱根レークサイドホテルに現れた美女二人組。財閥の令嬢とその女中というふれこみだが、実はこの二人宝石泥棒。有閑マダムの持つ50カラットのダイヤを狙って彼女への接近を試みるが、同じようにダイヤを狙って変装している男二人組の宝石泥棒がいて……。
-
満員電車
制作年:
「プーさん」「億万長者」に続く市川=和田の夫婦コンビによる風刺喜劇。人間のあふれた日本。社会人1年生の青年は、父親が発狂し、彼自身も様々な病気や失業と闘いながら生きていくが、次第に落ちぶれていく。軽いタッチで封切り当時は“映画漫画”といわれた。特に、冒頭の大学の卒業式のシーンはまさに漫画的。
-
傷だらけの山河
制作年:
人の犠牲を意に介さない非情な事業欲で成り上がっていった大事業家が、それゆえにやがて妻にも子どもにも妾にも見捨てられ、孤独になっていく様を描いた痛烈な社会派ドラマ。“信念に生きるのみ”と捨てゼリフをはく、山村聰の表情が印象的。
-
赤い水
制作年:
東海地方にある、平凡な町、ツバメ町。振興策を協議していた町長たちのもとに、耳よりな話が届く。地方事務所長の野沢が、酔っ払った勢いで、ツバメ町の“温泉郷建設案”を口走ったというのだ。町の有力者たちは、地価高騰を見込んで、土地の買い占めに奔走し出すが……。一つの地方の町を、日本の腐敗する政治の縮図として促えた、社会派監督、山本薩夫の風刺喜劇。芸達者な役者をそろえ、笑いを誘発する仕掛け。
-
穴〈1957年〉
制作年:
市川崑の才気あふれる、コミカルで軽妙なミステリー。出版社に勤めるルポライター、北長子は、警察官の汚職事件を書いたことが原因で会社をクビになってしまう。そこで彼女は、自らが偽の失踪事件を起こしてそのルポを書き、長子を探す懸賞を募集するという企画をたて、週刊誌に売り込みに行く。ところが長子が、預金横領事件に巻き込まれて事態は思わぬ展開に。
-
雪之丞変化〈1963年〉
制作年:
三上於菟吉の原作を、伊藤大輔と衣笠貞之助が脚色、さらに和田夏十が潤色した時代劇の傑作。1935年版で三役をこなした長谷川一夫は、ここでも雪之丞と闇太郎の二役を演じており、30年近い年月の隔たりを感じさせない。長谷川一夫300本記念映画。
-
暖流〈1957年〉
制作年:
戦前の同名作品を、名匠・増村保造監督が再映画化。前作では高峰三枝子扮する啓子が自ら身を引いたのに比べ、本作では啓子がぎんに敗北するという形に改変され、女のバイタリティーが強調されている。“二号でも妾でもいい”と東京駅で叫ぶ左幸子の姿は圧巻。
-
野火〈1959年〉
制作年:
戦時下の極限状況での、人間性と神の問題を描いた、大岡昇平の同名小説の映画化。市川崑夫人でもある脚本家の和田夏十は、原作を大胆に脚色し、直接神の問題に触れることは避けた。第二次世界大戦末期、フィリピン戦線レイテ島。日本軍は山中に追い込まれ、飢えと疲労で極限状態にあった。田村一等兵は病気を理由に軍隊から追い出され野戦病院に行くが、ここでも追い払われ、敗走する仲間の群れに入る。飢餓に苦しむ彼らは“猿”と称して、味方の兵士を殺し、その肉を食べていた。船越英二は役作りのため絶食して、鬼気迫る演技を見せた。
-
暴力の街
制作年:
敗戦後の混乱期に埼玉県下の地方都市で、実際に起こった事件をルポルタージュした朝日新聞記者の原作『ペン偽らず』をもとに、この作品のために作られた製作委員会が映画化した。暴力と金で町を支配するボスの一派と新聞記者や市民たちが闘う。東宝、松竹、大映など映画会社の枠を越え、広く劇団関係の俳優までが出演し、全国に市民の団結の力を知らせて共感を呼んだ。
-
江梨子
制作年:
伊豆の田舎から姉の嫁ぎ先に越してきた高校生の茂が、同じ伊豆出身の江梨子と出会う。やがて、彼は孤児という逆境の中で明るく生きる彼女と恋に落ちるが、無理解な大人たちによって引き裂かれる……。橋幸夫の大ヒット曲『江梨子』を基に、橋自身が主演した悲恋物語。
-
大怪獣ガメラ
制作年:
東宝に対抗して大映が手掛けた怪獣映画“ガメラ”シリーズの第1作。原爆実験のショックで、北極の地下で冬眠していたガメラが目覚め、日本に上陸して大暴れするが、最後はロケットで火星に飛ばされる。大映独特の斬新な特撮シーンが見もの。
-
盲獣
制作年:
江戸川乱歩のマゾヒズム小説を増村保造が監督した異色極まりない怪作。モデルのアキは、ある日突然盲目の男に誘拐され、巨大な女体像のある倉庫の一室に監禁される。男はアキをモデルに彫像を作り始める。最初は拒んでいたアキも、いつしか男との暗闇の中でのマゾヒスティックなセックスに没入していく。
-
黒の超特急
制作年:
大阪からさらに岡山方面へ延長されようとしていた新幹線。だがその超特急路線の用地買収の裏には、甘い汁を独り占めようとする政界のボスの陰謀があったのだ。青年不動産業者は一人戦いを挑んでいくが……。“黒”シリーズの最高傑作。
-
黒の試走車〈テストカー〉
制作年:
スポーツカーの新車売り出しをめぐってしのぎをけずる、二つの自動車メーカーをバックに、花形産業の舞台裏で暗躍する産業スパイたちの愛と憎しみを鋭く描き出した異色作。スパイ合戦のスリリングな展開と、花形産業にメスを入れた社会性がヒットの要因。
-
月よりの使者
制作年:
戦前、人気絶頂の入江たか子と高田稔の共演で作られ、大ヒットとなった作品の、戦後2度目のリメイク。療養所に働く道子は、患者の弘田に求愛されるが、病人の看護が忙しく結ばれなかった。弘田は別の女と結婚し、道子は二人の家庭へ彼の妻の看護をするために派遣される……。
-
どぶろくの辰〈1949年〉
制作年:
第二次大戦末期、広島で被爆した田坂具隆監督の、戦後再帰第1作。監督助手がついているのも彼の健康回復が思わしくなかったためと言われている。道路工事現場で働くどぶろくの辰の女性関係を描いた作品で、原作は新宿ムーラン・ルージュ出身の劇作家・中江良夫による同名戯曲。
-
日本橋
制作年:
大正初期の日本橋を舞台に、新旧二派の芸者と、周辺の男たちの色模様を描いた鏡花文学を、溝口に続いて市川が映画化。しかし、文芸作品を、いい意味での通俗性とともに、独特の軽妙洒脱な文体の中に映像化する市川節は、少々大胆さに欠けた。
-
大阪の女
制作年:
八住利雄原作の連続TVドラマ『女神誕生』を巨匠・衣笠貞之助が映画化。大阪の焼け残りの一画に暮らす上方落語や漫才の芸人たちの群像を、人情味豊かに描く。大映カラーが捉えた大阪の歓楽街のにぎわいや、華やかなステージの光景が見もの。京マチ子、中村鴈治郎をはじめ、名優たちの芸が冴える。
-
春琴物語
制作年:
谷崎潤一郎の名作『春琴抄』の2度目の映画化。盲目だが、美人の誉れ高い大阪の薬問屋の娘・お琴と、下男の佐助が主従関係を超えた愛で結ばれていく様を描く。当時の大映の看板スター・京マチ子を主演に起用。伊藤大輔監督は、身分の違いと、燃える情愛との相克に悩む男女の心理を、的確に捉えている。
-
男はつらいよ・寅次郎相合い傘
制作年:
第11作『…寅次郎忘れな草』に続いて浅丘ルリ子が相手役。東北の旅先でヘンな蒸発男と道連れになった寅さんは、かつて思いを寄せたキャバレー歌手のリリーとばったり再会。彼女は妻の座に納まらずにまたドサ回りをしていたのだった。何度かケンカと仲直りをくりかえす二人は結局東京へ戻り、“とらや”の面々は二人の結婚を画策するが、やはり堅気にはなれない運命だった。浅丘はキネマ旬報主演女優賞に輝いた。
-
好色一代男
制作年:
江戸元禄を背景に世之介の女性遍歴を描いた、井原西鶴の『好色一代男』の映画化。「刺青」「清作の妻」などで、どんな障害にも負けず自分の欲望を貫く女性像を描いた増村保造は、それを男性に置き換え戯作的に描いた。但馬屋の一人息子、世之介は父親の心配をよそに放蕩三昧。怒った父は世之介を江戸の出店に修行に出すが、そこでも世之介はしたい放題で、ついに勘当される。頭を丸めた世之介は、流転の末、私娼のヒモにまで成り下がっていく。やがて父が死に、但馬屋を引き継ぐやいなや金にまかせての女遊びの毎日で、お上に財産を没収されてしまう。世之介は好色丸に乗り、新世界に向けて船出するのだった。
-
破戒〈1962年〉
制作年:
島崎藤村の同名の原作の映画化はすでに木下惠介の手によるものがある。こちらは市川崑の演出によるもので、厳しいリアリズムに貫かれた作品に仕上がっている。丑松に市川雷蔵を、猪子蓮太郎に三國連太郎を配し、お志保にはこれがデビュー作で、原作者の藤村と役名から名付けられた藤村志保が起用されている。
-
あにいもうと〈1953年〉
制作年:
東京近郊、多摩川べりの田舎町。荒っぽい性格だが妹への愛は人一倍の兄と、いったん東京に出たものの年下の学生の子をはらんで再び兄のもとへ帰ってきた妹の、深い兄弟愛の世界を描いた作品。1936年、江口又吉脚本、木村荘十二監督のコンビで映画化された、室生犀星の同名小説の2度目の映画化。今回の脚本は成瀬とのコンビは定評のある水木洋子。成瀬の全盛期に撮られた傑作で、彼にとっては最後の大映映画でもある。登場人物の小さなしぐさや軽い目配せを緻密に組み立てて、ドラマの情緒をつかんでいく演出はまさに名人芸の域。成瀬の1953年作品に見られる、「夫婦」「妻」そして「あにいもうと」といったタイトルは、彼の作品世界のよって立つ場所を、これ以上ないほど明確に教えてくれる。
最新ニュース
おすすめフォト
おすすめ動画 >
-
X
-
Instagram