“科捜研コンビ”も! ポニョ放送記念「ジブリ親声優」を振り返り
お父さん「なんか匂わない? ほら、美味そうな匂いがする」
お母さん「いいわよ、そのうち来たらお金払えばいいんだから」
他の作品の両親たちとは逆に、観客がまったく共感できない“反面教師”として登場するのが、内藤剛志と沢口靖子の“科捜研コンビ”(テレビ朝日系『科捜研の女』で共演)が演じた、主人公・千尋の両親。道を間違ったにもかかわらず、四輪駆動車であることを過信して悪路を爆走して引き返そうとしない父と、転校で感傷に浸る娘に寄り添おうともしない母。挙げ句、無人の飲食店で勝手に料理を食べ始めて巨大な豚に変わってしまう始末……。千尋が異世界に引き込まれてしまった元凶とも言えそうだが、ネットユーザーが称する彼らの“クズ”ぶりがあるからこそ、彼女の冒険がひときわ輝いて見えるのかもしれない。
■『借りぐらしのアリエッティ』アリエッティの両親=三浦友和×大竹しのぶ
ポッド「挑まなくていい危険というものもある」
ホミリー「3人でまた素敵な新しいお家を作りましょう」
現在はスタジオポノックに所属する米林宏昌が、ジブリ歴代映画としては最年少として初監督を務め、宮崎駿が企画と共同脚本を手掛けた本作では、主人公アリエッティのみならずその両親も、メインキャラクターとして物語に大きく絡んでいる。演じたのは、三浦友和、大竹しのぶという日本を代表する名優ふたり。寡黙ながらも、一家の長、そして小人という種全体の存亡を考える冷静沈着な父ポッドと、心配性ながらも家族想いの母ホミリーの絶妙なバランス感を成立させている。ふたりのセリフからは、人生において大切な“具体的なこと”と“概念”が浮かび上がってくる。