身体醜形障害を告白も クロエ・グレース・モレッツ、26歳の現在地
2014年にベッカム家の長男ブルックリン・ベッカムと交際を始めると、彼女への注目はさらに高まった。同年5月にスケボーデートを初めてキャッチされて以来、破局・復縁を経て2018年に再び破局するまで、ゴシップサイトを賑わせた。当時、日常の様々な光景をパパラッチされ、クロエがカメラマンに不快感を表す姿もキャッチされている。
何より彼女を悩ませたのは、2016年5月に、ニューヨークのホテルの前でパパラッチに撮影された1枚の写真。黒いTシャツとデニムのショートパンツを着て、ピザの箱を抱える姿を捉えた何気ないショットだが、この写真を加工した画像がミームとなり、ネット上に拡散された。昨年9月、雑誌「ハンガーマガジン」のインタビューでクロエは当時を振り返り、こう述べている。
「アニメ『ファミリー・ガイ』に登場する短い胴体と長い脚のキャラクターに加工され、当時もっともバズったミームになりました」「皆が私の体型を笑っていたのに、周囲に相談しても『面白いから放っておきなよ』とあしらわれました。自分では変えられない身体的な特徴をジョークにされ、インスタグラムのあちこちに投稿されました」。
それまでは、ドレスアップしてレッドカーペットに登場することを楽しんでいたが、これを機に極度の自意識過剰になってしまう。「身体醜形症は、この世界で誰もが抱えている悩みですが、SNSの問題点だと思います。精神を蝕むのです」。身体醜形障害とは、自分の体型がひどく醜く劣っていると思い込み、多大な苦痛が生じたり、日常生活に支障をきたしたりすること。彼女はこの後、ディズニーの実写版『リトル・マーメイド』など決まっていた仕事をキャンセルすることを発表。休業説は否定したものの、意義があると思える仕事のみに集中し、スローダウンすることを決めた。
■“世捨て人”を経て、“クソ食らえ”の段階に
クロエはこの問題に、“世捨て人”のようになることで対処。カメラの前に出ることを避けることで、心を落ち着かせていったという。それと同時に、子役時代からチャンスを求め疾走していた足を止め、自分自身を見つめ直した。仕事を厳選した結果、出演したいと思える作品がない時期もあったが、気にしなかった。「腰を据えて自分が撒いた種の成長を見守ることが、私にとって重要でした。自分自身を信じることが大切だったのです。この時期を“クソ食らえ”時代と呼んでいます」と、NMEに述べている。
また、自身がフェミニストで、兄2人がゲイであることからLGBTQ+コミュニティの代弁者でもある彼女は、自分が何者であるか考える一方で、自分の影響力についても意識したという。「自分の持つ影響力をどう使うか勉強しています。撮影現場にいるときと同じように、発言する際に人にどのように映るか、私の意見がどう聞こえるか考えています」。
クロエはスローダウンの後、ルカ・グァダニーノ監督のリメイク版『サスペリア』(2018)や、イザベル・ユペールと共演した『グレタ GRETA』(2018)など厳選した作品に出演。また昨年は、Amazon Prime VideoのSFスリラードラマ『ペリフェラル ~接続された未来~』に主演し、テレビドラマに本格進出を果たした。そして今、彼女は製作に興味があり、さらなる目標もあるという。前出の「ハンガーマガジン」のインタビューで、クロエは将来について「カメラの後ろに立つことを狙っています。カメラに映る代わりに後ろに立つことで得られる自由を求めています」とコメント。さらに「ですが私の5年間の目標は、どこかの土地を手に入れ、ロサンゼルスと農場の半々の暮らしをすることです」とも語っている。様々な経験を乗り越え、成長を続けていくクロエから今後も目が離せない。(文・寺井多恵)