『リンカーン』はなぜ“伝説”? ダイナミックすぎ企画や番組から羽ばたいたスターたち<本日『ジョンソン』開始>
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さてレギュラーメンバー以外にも、番組から羽ばたいた芸人がいる。例えばバナナマン。世界各国にホームステイして人気を集めたドキュメントバラエティ『世界ウルルン滞在記』(同系)のパロディ版「世界ウルリン滞在記」で、渋谷のギャルサーに入門したのが日村勇紀。
年下のガングロギャルから「日村」と呼び捨てにされながら、彼女たちと1週間パラパラを練習し、全国大会に東京代表として出場をめざした。“ギャルの中におじさんの日村”という奇妙な「画づら」にも関わらず、そこに自然と溶け込む姿はお茶の間にインパクトを与えた。
おぎやはぎも番組に欠かせない存在だった。大物ダウンタウンと仲良くなるための企画「フレンドリーダウンタウン」に出演した2人。小木博明が特に仲良くなりたいと指名したのが松本人志だった。制限時間3時間の中でいくらでもタメ口をきけるが、敬語を1回でも使ってしまったらビンタされるという企画。つい敬語を使ってしまい、小木の“人の良さ”が認知された。この後、彼らはひな壇から、レギュラーメンバーの回し役としても活躍。今に通じる、大物にも容赦ないキャラができあがっていく。
ちなみに、先の「ウルリン滞在記」を演出していたのが、制作会社「シオプロ」を立ち上げた塩谷泰孝氏。ダウンタウンは、日村とギャルサーのロケVTRをスタジオで見ていて「面白い」と言ったという。シオプロは現在、『水曜日のダウンタウン』や『バナナサンド』『オオカミ少年』(以上、同系)や『ゴッドタン』(テレビ東京系)の制作協力に名を連ねている。『リンカーン』では多くの芸人も育てられていったが、優秀なクリエイターも輩出していたのだ。
その出世頭が同局の藤井健太郎氏。この番組のディレクターを経て『クイズ☆タレント名鑑』『クイズ☆正解は一年後』、さらには今や押しも押されもせぬ人気番組『水曜日のダウンタウン』(以上、同系)の演出を手がけている。時に物議を醸す『水ダウ』企画の原点は、毎回、いい意味での“悪ふざけ”ができた『リンカーン』にあったのかもしれない。
■『ジョンソン』に息づく『リンカーン』精神に期待
そんな『リンカーン』の後継となる『ジョンソン』の総合演出・浜田諒介氏は、もともと『リンカーン』のADをしていた人物だ。コンプライアンスという名のもとに、面白かったはずの“悪ふざけ”がテレビ界から排除される中、その後継番組『ジョンソン』が担う期待と重責も大きい。(文:橋爪昭)
『ジョンソン』は、TBS系にて10月23日より毎週月曜21時放送。初回2時間スペシャル。