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広瀬すずが“大人の女性”に 『水は海に向かって流れる』で表現した「次のステージ」への可能性

映画

『水は海に向かって流れる』
『水は海に向かって流れる』(C)2023映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 (C)田島列島/講談社

 これまで数々の映画やドラマでその魅力を発揮してきた女優、広瀬すず。25歳となった彼女が主演を務めた映画『水は海に向かって流れる』が、今年6月に公開された。これまで、「ちはやふる」シリーズや連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合ほか)などで快活なヒロインを演じてきた広瀬だが、『水は海に向かって流れる』では26歳の“大人の女性”を表現。まさに新境地といえる作品となった本作での、広瀬すずの魅力的シーンを振り返ってみたい。

【動画】“榊さん”広瀬すずの独特手料理の数々も 映画『水は海に向かって流れる』予告

 田島列島の同名漫画を実写化する本作は、26歳のOL・榊さん(広瀬)と高校生の直達(大西利空)を中心に、くせ者ぞろいのシェアハウスの面々の想定外の日々をつづった、家族の元を離れて始まる家族の物語。

(C)2023映画「水は海に向かって流れる」製作委員会(C)田島列島/講談社
 過去のある出来事から「恋愛はしない」と宣言する主人公・榊千紗を演じるのは広瀬すず。榊さんに淡い思いを寄せる直達役に抜てきされたのは大西利空。主題歌はスピッツが担当し、本作のために書き下ろされた新曲「ときめきpart1」が、登場人物たちの心情に寄り添い、この物語を一層彩っている。

■広瀬すずが築いたこれまでのイメージを覆す“榊さん”という役

 2012年、ファッション誌「Seventeen」(集英社)の専属モデルオーディション「ミスセブンティーン2012」に選ばれ芸能界デビューした広瀬。その後は『ちはやふる -上の句-』で第40回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、『怒り』で同優秀助演女優賞に輝く。連続テレビ小説100作目となる『なつぞら』ではヒロインを務めるなど、着実に女優として成長を続けてきた。また、2020年には「ルイ・ヴィトン」アンバサダーに抜てき。今や日本中の誰しもから愛される存在だ。

 快活で笑顔がキュートな「若者世代の女優代表」といって過言ではない広瀬だが、今年主演を務めた映画『水は海に向かって流れる』で演じた“榊さん”はそのイメージからちょっと離れている。26歳の自立した大人の女性で、あまり笑うこともなく感情的にもならず、現実にいたら「ちょっと近寄りづらい」雰囲気を持っているのだ。しかし、広瀬はそんな榊さんを見事に表現。20代前半までに築いてきた女優としての立ち位置からさらに飛躍した印象を受けた。

■変化のない表情に少ない言葉…でもなんとなく人間味ある“榊さん”という女性

 榊さんという女性は、シェアハウスに加わることとなった直達を迎えに来た最初のシーンで「この人と仲良くやっていけるのか…?」と不安にさせる雰囲気ビンビンで登場する。にこりともせず、10歳下の少年に対し冷たい敬語で接する。「絶対イヤイヤ迎えに来たじゃん…」と、筆者なら早くも新居に向かう足が重くなってしまっただろう。

(C)2023映画「水は海に向かって流れる」製作委員会(C)田島列島/講談社
 しかし、家に着くや否や榊さんは直達のためおもむろに台所に立つ。出来上がったのは、“良い肉”と玉ねぎをめんつゆで煮ただけのものをご飯に豪快に載せた「ポトラッチ丼」。シンプルでなんだか不器用だがものすごくおいしいその料理から、榊さんの人柄がにじみ出る。このほかにも本作には榊さんの料理がいろいろと登場しており、そのどれもが表情や言葉には出ない彼女の感情を表しているようだ。

(C)2023映画「水は海に向かって流れる」製作委員会(C)田島列島/講談社
 シェアハウスに住むほかの住人達(これまた皆クセが強いのだが)には、一見冷たい榊さんが抱えるあたたかい人間味をしっかり感じているようで、彼女を気にはかけつつも必要以上には踏み込まない。それが心地よい空気感を生み出している。

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■キャリア10年を超えた広瀬すずが表現したかった“大人の女性”像とは

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映画『水は海に向かって流れる』予告

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