「24年秋ドラマ」“期待度ランキング”上位3作品、第1話は実際どうだった? 徹底レビュー

10月に入り、続々とスタートを切っている秋ドラマの数々。今回は、クランクイン!が実施した2024年「期待の秋ドラマ」ランキングTOP10から、上位3作にランクインした作品の第1話を徹底レビューしていこう!
【写真】2話以降も見続けたい「2024年秋ドラマ」ランキングTOP10
■窪田正孝と若手実力派キャストらがつむぐ“学ぶ喜び”の物語『宙わたる教室』
主演の窪田正孝
「期待の秋ドラマ」ランキング第3位は、俳優の窪田正孝が主演を務める『宙(そら)わたる教室』(NHK総合/毎週火曜22時)だった。
本作は、実話に着想を得た伊与原新氏の同名小説を実写化。東新宿の夜間定時制高校を舞台に、窪田演じる理科教師・藤竹叶の声かけで発足する科学部の「実験」を通じて、生徒のみならず、先生やJAXA職員までもが、自身の抱える古傷、障害、因縁と向き合い、人生の再起に挑む姿を描く。
窪田演じる叶は将来を嘱望された科学者ながら、何らかの理由、意図から定時制高校の教師を務めている、という役どころ。今後、その理由が明かされるのだろうか。第1話のメインを飾る生徒を演じるのは小林虎之介だ。日曜劇場『下剋上球児』(TBS系)や前クール『ひだまりが聴こえる』(テレビ東京系)での好演が注目を集める小林だが、本作で演じるのは金髪で耳はピアスだらけ、というコワモテの青年・柳田岳人だ。
そんな岳人は、数学のテストの計算問題を軽々問いてしまう学力なのに、なぜか文章問題は手をつけない。岳人の言動から叶は、彼が「ディスレクシア」(文字の読み書きに困難をともなう学習障害)ではないか、と言い当てる。岳人は文章問題に手をつけなかったのでなく、つけられなかったのだ。今までどれだけ努力しても読み書きが上手くできず、子どものころから親や友人らに蔑まれてきた岳人(小林)が、感情を爆発させて慟哭するシーンは、視聴者の心を揺さぶる。
映画『学校』シリーズなど、定時制高校を舞台にした多くの作品がそうであるように、本作のテーマは、学ぶ経験を一度は諦めた生徒たちが取り戻す「学ぶ喜び」だ。第1話でも、叶はちょっとした実験によって岳人の抱いた素朴な疑問に答えてみせた。物事がなぜそうなっているのか。科学の力によってその原理が分かれば、同じ世界でもより豊かに見えてくる。
一方で本作は窪田演じる叶の成長のドラマでもある。第1話で岳人を誘う悪い友人たちを追い返したあと、同僚教師に「ちゃんと先生でしたよ」と褒められ、普段はほとんど笑顔を見せない叶が一瞬照れ笑いを浮かべる様は、ちょっとかわいい。
そんな叶が「科学部」の構想を岳人に語り、彼を最初の部員として勧誘するところで第1話は幕を閉じる。大注目の10代・伊東蒼なども生徒役として控えており、窪田演じる叶先生と生徒たちがどのようなケミストリーを生み出すのか、楽しみな作品となっている。