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ポルノ追加で大炎上、才能を信じ会社倒産──映画史の“天国と地獄”をさまよった底抜け名画たち

映画

■『1941』(1979)

映画『1941』(1979) 写真提供:AFLO
 『ジョーズ』(1975)『未知との遭遇』(1977)で一躍ハリウッドの寵児となった天才スティーヴン・スピルバーグ、初めての失敗作。こちらの製作費は『カリギュラ』の倍額に当たる3500万ドル(約92億円)。1941年の年末、ロサンゼルス沖に突如、日本軍の潜水艦が出現。官民あげての大騒動が始まる。コッポラと同じ戦争の狂気をドタバタ喜劇に落とし込み、ハリウッド攻撃を企む日本軍に“創造の天国と破壊の地獄”の対立を重ねる。

 『ジョーズ』のセルフパロディで幕を開ける滑り出しは上々だが、無数の登場人物が入り乱れ、特撮を駆使したダイナミックな見せ場と横滑りするコミカルな芝居がイマイチ噛み合わぬまま続く。オモチャ箱をひっくり返したように賑やかだが、それ自体は決して面白さの担保にはならず、刺激にはすぐに飽きて浪費ばかりが目につく。

 興行成績はまずまずながら、自身の過去作に比べると大幅に低く、スピルバーグは酷評を受け入れて驕りを悟り、アクションや特撮の演出を第二班に譲らなかった頑固さを悔いた。また、第二次世界大戦を茶化す姿勢に反発する古参映画人も少なからずいた。「物語は大混乱だが、現場は制御できた」。スピルバーグは告白する。「僕はこの映画が嫌いじゃないし、恥じてもいない。ただ......十分に面白くなかっただけだ」。

■『天国の門』(1980)

映画『天国の門』(1980) 写真提供:AFLO
 『地獄の黙示録』や『1941』を超える「大惨事」。それが鬼才マイケル・チミノ入魂の本作。予算は『カリギュラ』もひれ伏す衝撃の4400万ドル(約116億円)。舞台は19世紀のアメリカ。大牧場主と東欧移民の抗争を通して貧富の差で薄汚れた理想=アメリカン・ドリームの喪失を見つめた壮大な西部叙事詩だ。タイトルは移民が夢見た新天地であり、同時に誰もが平等にくぐる死への入口でもある。

 『ディア・ハンター』でアカデミー賞の監督賞・作品賞を得たチミノは、本作で無制限の「創作の自由」を与えられた。完成したセットを作り直し、再撮影を重ね、雲の形が気に入るまで撮影を延期。予算は瞬く間に膨れ上がり、粗編集版は5時間半の長尺に。それを2時間半まで縮めて公開したが、興行成績は予算の10%にも満たずに大爆死。製作会社のユナイテッド・アーティスツは経営危機に追い込まれ、チミノはハリウッドから干された。本作の失敗で監督主導の映画作りは衰退。映画スタジオの支配力が強まり、ハイコンセプトな作品が幅を利かすようになる。

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