毛の映画『スイートプールサイド』を製作、松竹の新戦略とは?
このような背景と展望を持ち、製作された『スイートプールサイド』。本作のプロデューサーを務める永井準哉氏は、実写化のきっかけをこう振り返る。
「まず、『チャレンジ企画』という名前の企画だったので、題材もチャレンジなものにしたかったですし、“毛”をテーマにした映画を今まで見たことがなく、原作が純粋に面白かったので、実写化しようと思いました。また、ニッチな題材に思われがちですが、毛の悩みは、全世界老若男女の誰もが共感できるものなので、生身の人間が演じることで、より身近なものにしたかったんです」。
もちろん、チャレンジ企画だけに、通常の映画製作とは製作・宣伝予算の額が一桁違う。
「製作費を考えた時に、この作品は予算をかけずとも、思春期の悩みや思い込みなどの人間の感情を変わった切り口で表現でき、かつエンタテインメントとしても成立するイメージができたので、チャレンジ企画に適していたと思います。また、スタッフ、キャスト関係者全員がビジネスライクではなく、『なんだか変な映画だけど面白そう』と面白がる、前のめりにさせる魅力もありました」。
チャレンジ企画は、日本映画界を活性化させる特効薬となるか、注目だ。