ハリウッド大作、中国でヒット連発なのに夏は苦戦?その意外な理由とは…

ハリウッドが、ますます中国に熱い視線を送っている。今年上半期の中国の興行成績は、前年同期と比べて22%増。しかも、6月末日の段階で、今年のトップ10映画のうち6作品をハリウッド映画が占めた。
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公開直後だったため、この時点で『トランスフォーマー/ロストエイジ』は5位だったが、その後どんどん売り上げを伸ばし、先週には『アバター』(2億2100万ドル)を抜いて、中国でハリウッド映画の史上最高記録(2億2500万ドル)を打ち立てた。『X‐MEN:フューチャー&パスト』の売り上げは1億1600万ドル(日本は998万ドル)『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』は1億1500万ドル(日本は660万ドル)だ。
北米外で最も大きな市場となったが、ハリウッドのスタジオが中国で直面する障害は、まだまだ多い。政府はあいかわらず中国映画が市場に占める割合を重視するため、ハリウッド映画の公開数や公開日にも口を出してくるのが、そのひとつ。とくに7、8月は外国映画をシャットアウトする傾向にあり、今年も、この2ヵ月は、ハリウッド映画の新作公開は予定されてない。ひとつの映画を上映できる期間も定められている。
最近は、タイアップをめぐるトラブルも目立ち始めた。『トランスフォーマー/ロストエイジ』の公開前には、北京のデベロッパーが、自分たちの所有する不動産を映画に登場させるという契約が守られなかったと大騒ぎをし、公開が阻止されるのではとも危ぶまれた。公開後には、観光ツアー機関が、武龍風景区が映画に出てくるはずだったのに出てこなかったこと、香港で撮影をしたシーンの直後に出てくるため、観客にはそれがどこだかよくわからなくなっていることを理由に訴訟のかまえを見せている。
数字自体は大きくても、実際にハリウッドに入ってくる収入は、中国の場合、他の国より極端に低く、わずか25%。中国との共同製作でない場合、受け取れる割合はさらに下がる。それでも、成長を見せるこの市場は、無視できない。問題を起こさずして、中国に上手にアピールする方法を、ハリウッドは試行錯誤している。(文:猿渡由紀)