平成のバラエティーで大躍進! 「バラドル」の歴史を振り返る
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90年にアイドルグループ・東京パフォーマンスドール(TPD)のメンバーとしてデビューした篠原涼子は、バラドルを経て女優として花を咲かせた成功例だ。91年12月から『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ)に出演、体当たりでさまざまなコントやコーナーに挑戦するバラドル的な姿が人気を呼んだ。その後、94年に小室哲哉プロデュースによるシングル「恋しさと せつなさと 心強さと」がヒットし歌手として成功をおさめるが、94年9月にTPDを卒業すると今度は女優として人気を獲得していった。
このように平成に入ってバラエティー番組がジャンルを超えてさまざまな芸能人、タレントの飛躍の場となってきた印象があるが、アイドル自体がバラエティーというジャンルを飲み込んでしまったのが90年代の終わりから2000年代にかけて黄金期を築いた女性グループ、モーニング娘。ではないだろうか。
デビュー前のオーディション時から『ASAYAN』(テレビ東京)を通じ各メンバーに密着、悲喜こもごものドキュメンタリーで感情移入させるモーニング娘。の手法はバラエティーとも親和性が良かった。ナインティナインを中心とした『めちゃ2イケてるッ!』(フジテレビ)や、石橋貴明(とんねるず)と中居正広がMCを務めた『うたばん』(TBS)などでもバラエティーに積極的にチャレンジ。自身の冠番組『ハロー!モーニング。』(テレビ東京)も随所にトークやコントなどを盛り込んだ。モーニング娘。自体はバラドルではないが、アイドルがバラエティーを自分たちの一部として飲み込んだといえるだろう。矢口真里、保田圭をはじめ、グループ卒業後もOGはそれぞれ活躍を見せている。
そして2005年12月に登場したAKB48以降のグループアイドルたちも、多数のバラエティー番組でレギュラー番組を持つ指原莉乃をはじめ多かれ少なかれバラエティー要素を活動の中に取り入れることで人気獲得の手段の一つとしている。現在、アイドル界のトップランナーともいえる坂道グループの乃木坂46や欅坂46などもバラエティーで見せる素の表情がファンに親近感を持たせ、コンサートやイベントの動員につながっている。
アイドルが本職そのままにバラエティーを活動の一環として取り入れてしまった現在、バラドルの役割はアイドルに吸収されていったとみていいだろう。「令和」の時代になり、この流れがどう続いていくのか注目したい。(文:奥住真)