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夏が来たら観たくなる 反町隆史、竹野内豊、広末涼子『ビーチボーイズ』の魅力

エンタメ

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反町隆史

竹野内豊

広末涼子

■ 実在感ただようマイク眞木のオーナー

 脇役も粒ぞろいだ。スナック「渚」を開き、何かを待ち続けている謎の女・春子を演じたのは、こちらも本格ブレイク前の稲森いずみ。さらに、のちにバラエティを中心に活躍する佐藤仁美は真琴の同級生役として初々しい姿を見せている。そのほか、病気療養中の少女を原沙知絵が演じ、政治家転身前の山本太郎もゲスト出演している。

 しかし、本作でなんといっても異彩を放っているのはマイク眞木だ。眞木はヒット曲「バラが咲いた」などで知られ、ドラマ・映画に数本出てこそはいるが本業は歌手である。本作では、真琴の祖父で、広海と海都をこき使う「ダイヤモンドヘッド」のオーナー・勝を好演している。
 
 まず風ぼうである。眞木は白髪を後ろで束ねるヘアスタイルだが、それが辞書で引いたら「海の家のおじさん」の項目に出てきそうな、イメージ通りのスタイル。演技は、最初こそ少し棒読みでは…と思うのだが、「何を話しても棒読みになるおじさん」というのは現実にいるため、かえって「こういう人いるいる」という実在感が出てくる。
 
 脚本を担当した岡田恵和はその著書で、当初から勝が最後に死ぬという結末は決まっていたという。しかし後に「マイクさんの勝があまりにいい味だったこともあって、本気でプランをひっくり返そうかとも思いました」<『ドラマを書く すべてのドラマはシナリオから始まる……』(ダイヤモンド社)より>と述懐している。それほど、眞木が演じる勝は眞木が演じるからこそ魅力的なキャラクターへと昇華した。

■ 「特別な展開はない」…でも何かイイ!

 では、本作はどういったストーリーなのか。広海と海都、そして真琴の3人を中心にストーリーは展開するが、今回観かえしてみて、実は不思議なほど「名シーン」「名ゼリフ」というのはないことに気づく。

 しかしそれは「つまらない」ということを意味はしない。観終えたあとに「何かイイなあ」と思えてしまう。それが『ビーチボーイズ』なのだ。こうした印象は出演者も共有しているようだ。広末は本作の小説版の巻末での眞木との対談で「ドラマが始まってみると、ストーリーに特別な展開はないけど、すごくやさしい雰囲気が流れていて……」と述べている。
 
 広末の「特別な展開はない」という印象は、岡田が脚本を書いたときの心境について「ストーリーばかり考えることに、何だか疑問を持ちはじめてしまって、普段ならストーリー上無駄だから刈り取ってしまうようなことを中心に書いてみたくなってしまった」<氷室冴子の小説『海がきこえる2 アイがあるから』(徳間書店) 文庫版解説より>と語っていることに通じる。

 だから、この作品に対しての「何も起きない」「ストーリー性がない」「淡々としすぎ」といった批判について、岡田は「私的にはOK。そういうドラマをつくりたかったから」だという。

 『ビーチボーイズ』は奇抜なストーリー展開で視聴者をあっと驚かせるのではなく、12話を通して「何かイイなあ」と思わせてくれる作品であること。それは最初から狙って作られたものなのだ。

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