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今期主演ドラマ2作の掛け持ち! 異なる“ポンコツ”男を演じる松坂桃李の企み

エンタメ

■『ここぼく』では、エリートだけど無責任でテキトーな“ポンコツ”男を熱演

 もう一作の『今ここにある危機とぼくの好感度について』は今クール、いや、ここ10年くらいを振り返ってみてもおそらく一番の問題作ではないかと思える作品である。

 松坂が演じるのは名門「帝都大学」に中途採用された広報マン・真。前職はテレビ局のイケメンアナウンサーで、「好感度」だけを常に気にしては、「何か言っているようで、何も言っていない」をモットーとしていた。

 そんな彼の如才なく中身も何もない処世術と知名度、マスコミ出身というキャリアに目をつけたのが、学生時代の恩師だった総長(松重豊)で、研究不正疑惑や、それを報じた学生新聞の抑え込み、学内シンポジウムへのテロ予告などなど、次々と降りかかる不祥事に対応を迫られるのだが…。

 あくまでコメディタッチで、ゲラゲラ笑って観ながら、毎回寒気がしたり、胃が痛くなったり、頭痛に襲われたりする。なぜなら「いかにも何か言っていそうで、何も言っていない」真は、とある大臣にソックリだとSNSで話題になっていたり、「記事にならないように、意味のあることを言わない」会見は、現在日々行われている国会の風景そのものだからだ。

 さまざまな不祥事や問題を隠蔽、あるいは「半目を開けた状態」でスルーしようとする大学理事会には、國村隼、岩松了、古館寛治、温水洋一など、見るからに曲者っぽい名バイプレイヤーたちが並ぶ。しかし、老獪(ろうかい)な魑魅魍魎たちが居並ぶ画ヅラは、現実世界で「今ここに起こりうる危機」を連想させるために、ともすれば不快感やグロテスクさにつながりかねないが、その重々しさを良い具合に明るく幼く呑気に軽くさせているのが、松坂桃李の存在だ。

 だからこそ、タイトルの「好感度」は「私」でも「俺」でも「僕」ですらなく、発展途上の「ぼく」なのだ。それにしても、あれだけの重量感を、ペラペラに薄く明るい真が一人で引き受けている構図は、なかなかに面白い。

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