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『Vivy』はなぜファンの心をつかむのか 後世に残る“歌アニメ”との共通点とともに考察

アニメ

■実社会の時代背景や音楽シーンを想起させる歌姫

 「歌でみんなを幸せにすること」が使命のAIヴィヴィは序盤こそ人を感動させられないものの、さまざまな場面で歌いながら少しずつ人の心に響く歌を届けられるようになっていく“歌姫”。曲調や特性は違えども、AIの歌が感動を呼ぶという点は、ソフトウェアで入力した歌詞とメロディで“歌声”を届けるバーチャル・シンガーが活躍する現代を象徴しているようだ。

テレビアニメ『Vivy ‐Fluorite Eye’s Song‐』第2話場面写真 (C)Vivy Score / アニプレックス・WIT STUDIO
 現実世界の時代背景や音楽シーンを想起させたり、考察したりできる点は『マクロス』シリーズでも見受けられた。1994年に放送された『マクロス7』のバサラが所属していた4人組ロックバンド「Fire Bomber」は当時のバンドブームを色濃く反映。また、2016年放送の『マクロスΔ』の戦術音楽ユニット・ワルキューレは、アイドルではなく人数も違うものの、AKB48をはじめ2010年代に目覚ましい活躍を見せたアイドルグループを想起させる。

 「歌アニメ」における歌姫・歌い手の存在は重要で、これまでのヒット傾向からもその魅力が人気を左右する要因のひとつと言えるだろう。

■歌とストーリーの密接な関係

 「歌アニメ」において、物語の転換点や重要な場面で新曲やエピソードに沿った楽曲が流れ、それが視聴者の心をつかむことも多々ある。『マクロスFRONTIER』の歌姫ランカ・リーが第12話「ファステスト・デリバリー」にて歌唱した「星間飛行」もそのひとつで、同曲は物語が大きく動くきっかけとなっただけでなく、現実でも「超時空シンデレラ」と呼ばれるランカを応援する動きが見られた。

 また、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』でリン・ミンメイが万感の思いを込めて歌い、異種族同士の抗争を止めるきっかけとなった「愛・おぼえていますか」は、マクロス史の中でも多くの歌姫に歌い継がれている。現実世界でも、NHK BSプレミアムにて2019年に放送された『全マクロス大投票』の歌部門で1位を獲得するなど、ファンの心に刻まれている名曲だ。

テレビアニメ『Vivy ‐Fluorite Eye’s Song‐』第4話場面写真 (C)Vivy Score / アニプレックス・WIT STUDIO
 『Vivy』では、ヴィヴィの後継機にあたるAIとして登場する“シスターズ”が、戦争の原因と目されるAI発展の転換点に関わっており、物語に沿った形で彼女たちが披露する歌はヴィヴィの行動にも影響を及ぼしている。これらも視聴者から支持される魅力のひとつで、第4話で“シスターズ”のエステラとエリザベスが歌った「Ensemble for Polaris」は、物語とのシンクロも含めて反響を呼んだ。

 オープニング・エンディング曲の使い方も印象的だ。基本的なオープニングテーマは「Sing My Pleasure」だが、第3話・第7話では異なる楽曲が使用されており、それぞれの歌と映像がヴィヴィの“その時代の変化と在り方”を表している。また、第5話の劇中では「Sing My Pleasure」が物語に沿った形で展開される。一方のエンディングテーマは、ピアノの儚(はかな)い旋律が耳に残る曲で、実は物語にも深く関わる重要な1曲。それが物語後半になるまで明かされないという仕掛けに、思わず「そういうことだったのか」とうなった人も少なくないだろう。

 「物語」「演技」そして「歌」と、それぞれ魅力的な要素が絶妙に絡み合うことで大きな熱を生み、視聴者の心をつかむ“歌アニメ”『Vivy』。テレビ放送はまさに佳境を迎えようとしているが、まだ見ていない人は今からでも動画サービスなどで追いつくことが可能だ。(文:M.TOKU)

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テレビアニメ『Vivy ‐Fluorite Eye’s Song‐』ノンクレジットオープニング映像
テレビアニメ『Vivy ‐Fluorite Eye’s Song‐』劇中歌「Ensemble for Polaris」エステラ(Vo.六花)&エリザベス(Vo.乃藍)

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