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『鬼滅の刃』なぜ人は鬼に勝てるのか? 魘夢戦で見えた、勝負を分ける戦闘ロジック

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■人vs鬼 戦闘スタイルの決定的な違い

 今回紹介した魘夢や猗窩座のように過去や性格はさまざまだが、基本的に鬼は人間よりも強く、十二鬼月、中でも上弦の鬼ともなると鬼殺隊の柱でも太刀打ちできない。では、なぜ炭治郎たち鬼殺隊は圧倒的な力を持つ鬼と渡り合うことができるのか。それは十二鬼月と鬼殺隊の戦い方の違いにある。

 無惨という絶対的君主によってつながった十二鬼月は横の関係性が希薄で、人間を狩る目的や理由もさまざま。人間が鬼よりも弱いという認識も相まって、魘夢や猗窩座をはじめ、多くはあえて協力して戦おうとしない。対する鬼殺隊は、鬼を滅ぼすという目的のもと集まり、思いをつなげて戦っていく。対峙する鬼を倒すために協力し、鬼を倒すため自らを犠牲にする隊士もいる。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』場面写真 写真提供:AFLO
 印象的なのは、必要であれば多対一も厭わないという構図。猗窩座戦のように1人で戦う、また戦わざるを得ないシーンも少なくはないが、魘夢戦では無限列車に乗り込んだ鬼殺隊全員で乗客保護と討伐にあたった。これは一般的な少年漫画のヒーローのイメージから少し外れたものかもしれない。魘夢のように人間離れした姿になる鬼もいるが、『鬼滅の刃』に登場する鬼は基本的に人間と同程度のサイズで、さらに見た目も人間に近い者も多いため、絵面としてもその印象を強めている。

 しかし、そこには悲願を果たそうとする決意がうかがえる。鬼が人の生活を脅かし、多くの同胞の仇でもあることを考えると、少しでも勝つ可能性を上げようとする行動は鬼殺隊の心情や意志をリアルに追求した表現ではないだろうか。だからこそ、根性ではどうにもならない鬼の強さが光り、そこまでしないと勝てないという緊迫感も感じられる。鬼を滅ぼすために最善を尽くす鬼殺隊は正真正銘のヒーローと言えるだろう。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』場面写真 写真提供:AFLO
 時に炭治郎たちが圧倒的な力を持つ鬼と渡り合えるのは、こういった“つながり”によるものだろう。最初は禰豆子(※)を鬼とみていた煉獄が「鬼殺隊の一員として認める」という言葉を残したのも、無限列車で人を守る姿に“つながり”を感じたからに他ならない。「十二鬼月」と「鬼殺隊」。それぞれの立場や目的を念頭に置いてみると、これまでとは少し違った視点で作品を楽しめるかもしれない。(文:M.TOKU)

 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、フジテレビ系にて9月25日21時放送。

※「煉」の正式表記は「火+東」
※「禰」の正式表記は「ネ+爾」

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